当院では、喘息の検査として呼気中の一酸化窒素濃度(FeNO)を測定する呼気NO検査を実施しています。
喘息は、「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」といった喘鳴や息苦しさやとまらない咳を伴う疾患です。
これらの症状は、空気の通り道である気道に炎症が生じることによって引き起こされます。
呼気NO検査は、マウスピースをくわえて深呼吸をするだけで、呼気中に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を簡単に測定することができます。
呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)測定器 NIOX VERO(ナイオックス ベロ)
呼気中に含まれる一酸化窒素(FeNO)の濃度を測定して気道の炎症状態を測定して、新しいぜんそくの診断ができます。
呼気中の一酸化窒素濃度が上昇した場合、気道に好酸球性の炎症があることがわかります。炎症の程度によりぜんそく治療が必要かどうかの判断や、薬の効果も分かるため投与量の増減にも役立ちます。そのため、治療の効率化にもつながると考えられます。
検査時間は約1分30秒です。
検査装置に取り付けられたフィルタをくわえて、息を吸い込んでから吹き込むだけです。
喘息は慢性の気道炎症を本態とする疾患であり、治療に際しては気道炎症の状態を評価することが重要です。そして気道炎症の評価にはバイオマーカーが有用であると考えられます。
日常臨床において、好酸球と呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)はともに気道炎症を評価するバイオマーカーとして有用ですが、喘息の気道炎症には様々な炎症細胞やサイトカインが関与しているため、これらの因子と各バイオマーカーがどのような関係にあるのか考慮する必要があります。
好酸球は、IL-5刺激により分化・成熟、生存延長、活性化など様々な影響を受け、また好酸球の上昇にはIL-5の寄与が大きいと考えられています。
一方、FeNOは、IL-4及びIL-13の刺激により気道上皮でNO合成酵素の発現量が増加し、これに伴いFeNOも上昇すると考えられています。
IL-5とIL-13の主な産生細胞は、ともにTh2細胞及び2型自然リンパ球(ILC2)であるため、IL-5とIL-13の発現量は相関することが報告されています。
実臨床においても、好酸球とFeNOが相関するため、喘息の状態把握のために呼気試験として利用されています。
風邪やインフルエンザ、新型コロナにかかった場合など、発熱や頭痛は治ったのに「せき」だけがいつまでも残る…こんな経験はありませんか。
諸症状の中で比較的大きなアクションを伴うため、印象に残りやすいのでしょうか。
Q. 風邪の諸症状の中で、「せき」は比較的長引きやすい印象があります。
A. そうですね。「風邪は治ったけど、せきが続いている」とおっしゃる患者さんは少なくありません。日本呼吸器学会がまとめたガイドライン「咳嗽・喀痰(がいそう・かくたん)の診療ガイドライン2019」では、「3週間以上」せきが続くようなら、風邪、感染症以外の病気を疑うべきだとしています。
Q. なぜ、3週間が目安になるのでしょう? その理由は?
A. 風邪のせきというのは、長引いたとしても大体平均すると18〜21日で治まるというデータがあるので、急性のせきは3週間が目安と言われています。
Q. ここで問題にしているせきって、どのようなタイプがあるのでしょう?
A. あまりたんが絡まないドライなせきや、たんを伴うウエットなせきがあります。より正確に診断するためには、「生活背景の聞き取り」が求められるところです。具体的には、アレルギーや喫煙習慣の有無などですね。「せきが続く期間」だけを診ていても、正確な診断は下せません。
せきという結果は一つでも、原因はさまざまに考えられる
Q. せきが長引いている場合、考えられる病気は?
A. まさに多彩です。ちなみに、せきのことを医学的には「咳嗽(がいそう)」と言います。そのうえで、主だったせきの続く病気には、以下のようなものがあります。
・感染性咳嗽:感染症(風邪)によって起こるせき
・感染後咳嗽:菌やウイルスが死滅していて、風邪自体は治っているにも関わらず残るせき
・アレルギー咳嗽(アトピー咳嗽):何らかのアレルギー反応によるせき
・せきぜんそく:ヒューヒューやゼイゼイといった、呼吸困難を伴わないせき
・後鼻漏(こうびろう)症候群:鼻水が喉の奥に落ちることによって起こるせき
・逆流性食道炎:胃酸が逆流したことによって起こるせき
・慢性閉塞性肺疾患(COPD):主に喫煙習慣により生じる肺疾患
そのほか、肺炎や肺がん、肺結核などの重病が隠れていることもあります。また、服用中の薬の副作用によるせきなども考えられます。
Q. それぞれの鑑別は、どのようにおこなっているのですか?
A. 可能性は多彩ですから、まずは入念な聞き取りをおこなって絞りこんでいく。それに尽きます。そのうえで、例えばウイルスや菌が関係していそうなら、血液検査をおこないます。我々医師が常に念頭に置いているのは、肺がんと結核の可能性です。死に直結しかねない病気ですから、胸部X線で調べます。また、ぜんそくが疑われる場合には、肺機能検査をおこないます。
入口を間違うと、いつまでも出口へたどり着けない
Q. 長引くせきは、どのように予防すればよいのでしょう?
A. 上述したほとんどの病気には、それぞれの治療方法が確立しています。それぞれの予防方法は異なるのですが、共通していえるのは「喫煙習慣は諸害の元」ということです。肺がんやCOPDといった固有の病気はもちろん、炎症や感染を起こしやすいことも知られています。禁煙は、有効な予防・治療方法です。
Q. せき止めの市販薬に頼っても大丈夫でしょうか?
A. 服用してみて「効果がある」のなら否定はしません。ただし、いつまでたっても“効かない”のであれば、見当違いのお薬を服用している可能性がありますので、呼吸器内科を受診されてはどうでしょうか?
風邪は治ったのに、咳がなかなか治まらない。
そんな症状に心当たりがありませんか?
もしかしたらそれは、咳喘息かもしれません。
咳喘息は、一般の喘息と同様に気道が狭くなることで、呼吸時の刺激に過敏になり、炎症や咳が起こる病気です。
年々患者数は増加傾向にあり、特にアレルギーの方に多いとされています。
風邪と併発することが多く、風邪の後に2〜3週間以上咳が続く場合はご相談ください。
咳喘息の症状が現れるきっかけとして以下のようなものが挙げられます。
咳喘息になると、乾いた咳が1ヶ月以上続きます。
ただし、一般的な喘息と違い、「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」といった喘鳴や呼吸困難はにはならず、初めは咳以外には気になる症状が出ないため、様子見で済ませている方が多いのが現状です。
しかし、咳が長期継続してしまうと、胸に痛みが出てきたり、のどがイガイガして不快な状態が続きます。
また、咳喘息は自然に治ることもありますが、気管支喘息の前段階とも言われていますので、移行前に適切に治療することが大切です。
※上記の1、5の2つを満たすことで咳喘息と簡易診断をする場合もあります
咳喘息はその特性上、風邪が長引いていると勘違いをされやすい病気です。
そのため、通常の風邪薬や抗生物質、咳止めを続けて服用される場合が多いのですが、咳喘息の場合はこれらのお薬では効果がありません。
咳喘息と診断された場合、吸入ステロイド薬や気管支を拡張させる薬を用いて気管支喘息へ移行を予防していきます。症状が軽減した場合でも、途中で治療を止めてしまうと再発する可能性がありますので、自己判断をせずに数ヶ月は治療を続けることが大切です。
心あたりのある方は、お気軽にご相談ください。
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