痔核(いぼ痔)について

静脈の血流が悪く、うっ血し、さらに静脈が拡張したものが痔核(いぼ痔)です。
発生する場所により、内痔核と外痔核に分けられます。

原因

痔核(いぼ痔)は、肛門内の静脈の血流が悪くなり、うっ血した状態です。

排便時の強いいきみや加齢、長時間同じ姿勢でいるための肛門への加重、日常生活の不摂生、ストレスなどが原因で起こります。特に女性の場合、妊娠・出産が痔の原因になる場合があります。

赤ちゃんの重さで肛門に圧力がかかるうえ、便秘になりやすく、出産時には強くいきまなければならないからです。

症状

歯状線の内側にできたものを内痔核、外側にできたものを外痔核といいます。肛門内の静脈がたくさん集まった部分に、血液がたまってふくらんだ状態が痔核(いぼ痔)です。

内痔核は、目に見えず痛みに鈍感な部分にできるので、痔核(いぼ痔)ができても気づかないこともあります。ただ、症状が進めば排便時に粘膜が破れて出血することもあります。

外痔核は、肛門の縁に、血豆ができて痛みます。

内痔核

初めは出血があるだけですが、進行すると痔核(いぼ痔)が肛門外へ脱出するようになります。

初期の痛み、出血、腫れなどの急性症状は、薬を使ったり入浴したりして、うっ血や炎症がとれてくれば治まります。

しかし、痔核(いぼ痔)が簡単に脱出したり、脱出した痔核(いぼ痔)が戻りにくい状態になると手術が必要になります。

治療

まずは、便通をととのえること。
状態によって、座薬や軟膏の鎮痛剤や抗炎症剤を使っていぼを小さくします。

内痔核の治療は、かなり進行した状態でなければ、軟膏や坐薬などで治療する場合がほとんどです。
しかし、出血が多い場合や痛みが強いなど、場合によっては手術治療を最善の方法としてご提案することもあります。その他、硬化療法やゴム輪結紮法も行われますが、再度痔核(いぼ痔)になることも少なくありません。

手術治療

現在の主流は結紮切除術と言います。痔核(いぼ痔)のあるところだけを切除します。

肛門の縁より2cmほど離して皮膚を切開し、肛門括約筋から静脈叢を剥がしとります。奥は痔核組織の上縁まで十分に切除します。太い痔動脈が痔核組織に向かってきていますので、それを結紮し確実に止血し、痔核組織を切りとります。切除後は、そのまま縫合しない方法(開放術式)と奥の半分だけ縫合する方法(半閉鎖法)があります。

1箇所のみの痔核で、巨大なものではなく、肛門の狭窄や激しい痛みがなれば、痔の日帰り手術も可能です。

ただし、痔核(いぼ痔)を数箇所に認める場合や巨大なもの、肛門が狭い、痛みを伴っている場合などは、入院治療が望ましいです。

最近PPHという方法で直腸の正常組織の一部をリング状に切除して中に引っ張りあげる方式も広まりつつありますが、保険診療ができない点や痔核(いぼ痔)そのものを残していることもあり長期成績の点などで問題が残ります。

外痔核

肛門の縁に突然痛みを伴ったやや青紫色のしこりができます。

これは血の塊(血栓)ができた状態です。多くの場合、きっかけとなるエピソード(たとえばいつも以上に下痢が続いた・便秘をして苦労した・アルコールを飲みすぎた・長く座っていた・運動したなど)があります。
純粋に肛門の外のみで腫れが認められる場合と内痔核の腫脹も伴って脱出様となった場合とがあります。

治療

突然血の塊ができ、腫れて痛みがあります。
薬により治りますが、大きく痛みが強いものは切除するか、血の塊を取り除く必要があります。

外痔核は、早いうちであれば、温めて血行をよくし、軟膏や座薬を使うだけでもかなり良くなります。いぼがあまり大きくなって痛みがひどい場合は、切開して血栓を取り除きます。

純粋の外痔核は、薬でよくなることが多いですが痛みが強かったり腫れが退かない場合は血栓を取り除く手術(血栓除去)をすることもあります。

ところが、外痔核は、内痔核をもった方ほどできやすいため、内痔核の腫れも伴っている場合は下手に血栓除去を行いますとさらに腫れたり出血が止まらなかったりします。

嵌頓痔核(かんとんじかく)

内痔核が大きく腫大脱出し、肛門括約筋で絞扼されることにより発生します。循環障害により痔核表面が壊死に陥り周囲にはかなり強い浮腫を伴います。痛みは強く周囲の浮腫が強いため還納することは困難です。

治療

痛みが非常に強い場合は手術を行いますが、通常は投薬により3〜4日して腫れがひきます。痛みの症状がなくなるほどに改善した場合は軽度の内痔核である場合が多いようです。

しかし 普段から脱出を繰り返している方で、痛みが改善するようなら腫脹が消失してからでもいいですが、長く痛みがおさまらなくて、内痔核の脱出が戻らなければ、発症の早い段階で手術治療が望ましいです。

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