新型コロナウイルス治療薬等について

治療薬とは

現在、厚生労働省の承認を受けている新型コロナウイルス治療薬には「抗炎症薬」「抗ウイルス薬」「中和抗体薬」があり、このうち重症化を防ぐ目的で「軽症」の方を投与対象に含むのは「抗ウイルス薬」と「中和抗体薬」となっています。

「抗ウイルス薬」は、ウイルスが細胞に侵入して増殖・拡散するのを阻害する作用があり、点滴薬の「ベクルリー」と経口薬(飲み薬)の「ラゲブリオ」「パキロビッドパック」があります。

一方、「中和抗体薬」は体内に注入した抗体がウイルスの表面に結合し細胞に侵入するのを防ぐ作用があり、点滴薬の「ロナプリーブ」「ゼビュディ」と筋肉内注射薬の「エバシェルド」があります。

ただし、「エバシェルド」については現在供給量が限られていることもあり、ワクチン接種では十分な免疫の獲得が期待できない方への発症抑制目的での投与のみ可能となっています。

なお、東京都では「中和抗体薬」(エバシェルドを除く)による治療を希望する方について投与調整を実施しています。

経口薬(飲み薬)について

厚生労働省の特例承認を受けている新型コロナ感染症の飲み薬には、「ラゲブリオ(モルヌピラビル)」と「パキロビッドパック(ニルマトレルビル・リトナビル)」があります。

ともに抗ウイルス薬で細胞内に侵入した新型コロナウイルスの増殖を阻害する作用があります。

投与対象は、重篤な心疾患や慢性呼吸器疾患、肥満等の新型コロナ感染症の重症化リスク因子がある等、医師が必要と判断した方とされています。

処方対象リスト

  • 61歳以上
  • 慢性腎臓病
  • COPD
  • BMI30以上の人
  • 糖尿病
  • 肝硬変等の肝疾患

重症度の高い患者、発症から6日目以降に投与した患者に対する有効性は確立していません。

処方を受けるためには医療機関の受診が必要ですので、処方の対象になるか医療機関の診察を受けてください。

また、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方、授乳中の方のほか、他の薬を服用されている場合、飲み合わせに注意が必要な場合がありますので診察の際に医師にご相談ください。

なお、パキロビッドパックは供給量が限られているため、一般流通は行わず、供給が安定するまでの間、国が所有した上で、治療を行う医療機関及び対応薬局に提供しています。

ラゲブリオは令和4年9月16日から一般流通が開始されています。

新型コロナウイルス治療薬や、治療薬の処方等についての相談窓口を設置しています。

「中和抗体薬」(エバシェルドを除く)による治療について

軽症の患者さんに対して 重症化を防ぐことを目的とした治療です。

点滴で投与し、投与後に副作用が生じないか、一定時間、経過の観察を行います。

厚生労働省の特例承認を受けている中和抗体薬「ロナプリーブ(カシリビマブ及びイムデビマブ)」と「ゼビュディ(ソトロビマブ)」は、抗体によりウイルスが細胞の表面に付着するのをブロックします。

ロナプリーブは新型コロナウイルスに結合する2種類の抗体を混ぜ合わせて使用するため、抗体カクテル療法と称しています。

対象となる方

中和抗体薬による治療の対象となるのは、重症の方以外で、重症化リスクを有するコロナ陽性者です。

※ロナプリーブについては発症抑制目的の投与も認められていますが、免疫抑制状態にあること等、対象が限られています。

副作用

中和抗体薬による治療の主な副作用は、次のとおりです。

 
薬剤を点滴中または直後に起こる有害事象(インフュージョンリアクション)

中和抗体薬を点滴したときにおこることがある体の反応で、過敏症やアレルギーのような症状が現れます。

  • 発熱
  • 悪寒
  • 吐き気
  • 不整脈
  • 胸痛
  • 胸の不快感
  • 力が入らない
  • 頭痛
  • じんま疹
  • 全身のかゆみ
  • 筋肉痛
  • 喉の痛み など
重篤な過敏症

中和抗体薬を点滴したときにおこることがある体の反応で、過敏症やアレルギーのような症状が現れます。

  • 全身のかゆみ
  • じんま疹
  • 皮膚の赤み
  • ふらつき
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 息苦しい
  • 冷汗が出る
  • めまい
  • 顔面蒼白
  • 手足がつめたくなる など

中和抗体薬による治療を受けたい方の相談の流れ(都民のみ)

東京都は、中和抗体薬等による治療の対象となる患者さんに、早期に治療を受けていただけるよう「東京都新型コロナウイルス治療薬等コールセンター」を設置しています。

コールセンターへの御相談により投与先医療機関を決定した場合には、東京都が送迎のための車を手配します。

投与後は、一定時間、経過の観察が必要です。そのため、多くの場合1泊2日以上の入院投与となります。

※入院期間はご本人の体調と医療機関の判断により異なります。

 

実施施設

中和抗体薬による治療は、現在、都立・公社病院や民間病院・診療所のほか、一部の宿泊療養施設、酸素・医療提供ステーション等において、必要な患者に対して行っています。

中和抗体薬 リーフレット

中和抗体薬に関する内容をリーフレットにまとめておりますので、ご活用ください。

中和抗体エバシェルドを希望される方の為の対象医療機関リスト

エバシェルドの配分を受けられる医療機関は、都道府県が要件を確認した病院若しくは有床診療所又は無床診療所と定められております。

※上記以外の高齢者施設は取り扱うことができません。

※かかりつけ患者のみを受け入れる方針の医療機関は本剤の配分の対象外です。

現時点では発症抑制目的での投与に限って薬剤供給が認められており、上記に加え下記2点の要件を満たした医療機関がエバシェルドの配分を受けることができます。

  • 本剤は国が無償で譲渡し、手技料等については自己負担となりますが、本剤の投与が対象者にとって過度な負担にならないことを目的として、投与時の自己負担分の徴収金額を 3100 円(税込)以下とすることに協力をいただけること
  • 都道府県による対象医療機関の公表に同意すること

また、投与対象者は厚生労働省事務連絡に記載のとおり、下記の(1)のいずれかに該当し(2)である方に限られておりますのでご留意ください。

(1)ワクチン接種では十分な免疫の獲得が期待されない方(発症抑制目的での曝露前投与)

具体的には

  • 抗体産生不全あるいは複合免疫不全を呈する原発性免疫不全症の患者
  • B細胞枯渇療法(リツキシマブ等)を受けてから1年以内の患者
  • ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬を投与されている患者
  • キメラ抗原受容体 T 細胞レシピエント
  • 慢性移植片対宿主病を患っている、又は別の適応症のために免疫抑制薬を服用している
    造血細胞移植後のレシピエント
  • 積極的な治療を受けている血液悪性腫瘍の患者
  • 肺移植レシピエント
  • 固形臓器移植(肺移植以外)を受けてから1年以内の患者
  • 急性拒絶反応でT細胞又はB細胞枯渇剤による治療を最近受けた固形臓器移植レシピエント
  • CD4Tリンパ球細胞数が50 cells/μL 未満の未治療のHIV患者
(2)SARS-CoV-2 による感染症患者の同居家族又は共同生活者等の濃厚接触者ではない方

※成人及び 12 歳以上かつ体重 40kg 以上の小児が対象です。

詳細は下記厚生労働省の事務連絡をご一読ください。

新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬「チキサゲビマブ及びシルガビマブ」の医療機関への配分について

上記要件を満たしたうえでエバシェルドの配分を希望される医療機関は、下記ページより電子申請にて東京都へご申請ください。

※エバシェルドは在庫を保有することができません。

(電子申請)中和抗体薬「エバシェルド」の投与を行う医療機関の登録について

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