
ここからパート1、「抗原設計を読む」に入ります。副題に書いたとおり、NTD、RBD、リンカー、HATMの4つを順番に見ていきます。医師・看護師向けの色が濃くなりますが、クラークの皆さんも、あとで出てくる「押さえておく5語」につながる部分ですので、雰囲気だけ掴んでおいてください。
Part 1では、mRNA-1283がコードする抗原の構成要素を順に解説します。

RBDは、レセプター・バインディング・ドメイン、受容体結合ドメインの略です。
上の箱に大きく書いたとおり、RBDが「鍵」、ACE2受容体が「鍵穴」の関係です。ウイルスはこの鍵を使って、人の細胞のドアを開けて入ってきます。 その下、この結合を抗体で妨げられれば、ウイルスは細胞に侵入しにくくなります。
このように感染する力を妨げる抗体を「中和抗体」と呼びます。括弧書きにしましたが、中和というのはウイルスを消してしまうという意味ではありません。ここは患者さんにもよく誤解されます。
右の青い枠、医師向けです。RBDはスパイクのS1サブユニットに存在し、ACE2、アンジオテンシン変換酵素2との結合を担います。主要な中和抗体エピトープが集中する領域であり、mRNA-1283が抗原として選択した重要な領域の一つです。
RBDはACE2受容体との結合を担い、主要な中和抗体エピトープが集中する領域です。「鍵と鍵穴」の比喩は窓口説明でも使用できます。中和とはウイルスの感染能力を妨げることであり、ウイルスを消滅させる意味ではありません。

NTDは、エヌ・ターミナル・ドメイン、N末端ドメインの略です。
左に書いたとおり、スパイクの先端側にある領域で、ここにも免疫が認識する部位があります。エムネクスパイクはRBD一点に絞るのではなく、NTDも組み合わせているのが特徴です。
下の箱、「ドメイン」という言葉は、タンパク質の中で、ある程度まとまった役割を持つ部分、という意味です。
右の青い枠。NTDもS1に位置し、NTDスーパーサイトと呼ばれる中和抗体エピトープを含みます。一方で変異が蓄積しやすい領域でもあり、株の更新に伴う抗原性の変化を受けやすい部位です。この「変異が蓄積しやすい」という点は、後半のトレードオフのところでもう一度出てきますので、頭の隅に置いておいてください。
NTDはスパイク先端側に位置し、NTDスーパーサイトと呼ばれる中和抗体エピトープを含みます。同時に変異が蓄積しやすい領域でもあり、この点は後述のトレードオフにつながります。

構造を1本の線で示しました。
N末端側にNTD。そこから7アミノ酸のリンカーでつながって、RBD。さらに5アミノ酸のリンカーを介して、HATM。HATMは23アミノ酸で、インフルエンザHA由来の膜貫通ドメインです。ここがC末端になります。 リンカーというのは、部品と部品をつなぐ短いひものようなものだとお考えください。
下の箱に注釈を2つ書いています。1つめ、別紙の模式図では5アミノ酸リンカーが省略されています。構成は治験実施計画書、NCT05137236に記載があります。別紙と本資料で見え方が違いますので、先にお伝えしておきます。
2つめ、この図は抗原タンパク質の構造であって、mRNA分子そのものの構造ではありません。実際のmRNAには5′キャップや非翻訳領域、ポリAテールなどが含まれますが、この図には含まれていません。
mRNA-1283がコードする抗原は、NTD─7アミノ酸リンカー─RBD─5アミノ酸リンカー─HATM(23アミノ酸)という構成です。5アミノ酸リンカーの根拠は治験実施計画書(NCT05137236)で、FDA公開資料では当該部分がマスキングされています。本図は抗原タンパク質の構造であり、mRNA分子の構造ではありません。

HATMは、インフルエンザ・ヘマグルチニン・トランスメンブレン・ドメインの略です。名前は覚えなくて結構です。
上の箱に書いたとおり、役割は作られた抗原を細胞膜につなぎ止める「いかり」です。船が流されないように海底へアンカーを下ろすのと同じイメージです。
インフルエンザウイルスのHA、ヘマグルチニンに由来する23アミノ酸の配列です。
右の青い枠。NTD-RBD-HATM抗原を、分泌型ではなく膜結合型として発現させる設計です。この膜結合型の発現が、mRNA-1283の抗原設計上の特徴の一つです。 そして下の赤い枠、ここが大事です。「膜に留めるから少ない量で効く」と因果を断定しないでください。用量の妥当性は、設計の理屈ではなく、臨床試験の結果で判断されています。膜に留めることでどれだけ免疫への提示が良くなったか、というところまでは実証されていません。
〔配布〕 HATMは抗原を細胞膜に固定する膜貫通ドメインです。膜結合型として発現させる点は設計上の特徴ですが、それによる抗原提示の改善度が定量的に実証されているわけではありません。用量の妥当性は臨床試験の結果に基づきます。

Part 2に入ります。「なぜ10マイクログラムでよいのか」。副題に書いたとおり、患者さんから最も多い質問がここです。窓口に立つ方は特にここを聞いてください。
Part 2では、mRNA量の減少をどう説明するかを扱います。

バツと丸で書きました。 バツ「同じものを5分の1に薄めた」。これは違います。 丸「作らせる抗原そのものを小さく再設計した、別のmRNA設計」。こちらが正しい説明です。 そして下、そのうえで臨床試験を行い、10マイクログラムという少ないmRNA量でも従来型に劣らない有効性と免疫応答が得られることが確認されました。 窓口で使っていただく言い回しは、この丸の1行と、下の1行です。この2つをセットで言えば、まず誤解されません。
mRNA量が5分の1であることは、希釈ではなく設計変更の結果です。ただし「少量で足りる根拠」は設計の理屈ではなく臨床試験の結果にあります。この2点をセットで説明します。

上の赤い枠、避けたい説明です。「NTDとRBDに絞った、だから10マイクログラムで足りる、だから非劣性だった」という因果の連鎖。これはやめてください。 その下に書いたとおり、ワクチンの効果はmRNAの量だけで決まりません。4つの箱に並べています。どの抗原を作らせるか。どれだけ効率よく発現するか。どう免疫に提示されるか。脂質ナノ粒子の設計。これらが絡み合って決まります。 一番下、①設計が違う、プラス、②10マイクログラムで臨床的に検証した。この二段階で説明する。上記で申し上げたことの繰り返しですが、それだけ重要ということです。
ワクチンの効果は、抗原の種類・発現効率・抗原提示・脂質ナノ粒子の設計など複数要因で決まります。設計変更を用量減の直接の原因として説明せず、①設計が異なる、①臨床試験で検証した、の二段階で説明します。

パート3、ネクストコブ試験を読む、に入ります。副題にあるとおり、第3相、11,454人、両群ともBA.4/5の2価製剤、という試験です。ここは医師・研修医の方に特に聞いていただきたい部分です。
Part 3では、mRNA-1283の主要な臨床試験であるNextCOVE試験の設計と結果、およびその読み方を扱います。

4行で整理しました。 対象、12歳以上、11,454人が無作為に割り付けられています。
比較、mRNA-1283の10マイクログラム対、mRNA-1273の50マイクログラム。
製剤、両群とも起源株プラス、オミクロンBA.4/BA.5の2価製剤です。 設計、第3相、無作為化、評価者盲検、実薬対照。 そして下の赤い枠。混同しないでください。**この試験で使われたのは、現在のXFG対応製剤そのものではありません。**今シーズンの製剤で有効性試験が行われたわけではない、という点は質問が出やすいところですので、正確に押さえておいてください。
NextCOVE試験は12歳以上11,454人を対象とした第�V相・無作為化・評価者盲検・実薬対照試験です。使用されたのは両群とも起源株+BA.4/BA.5の2価製剤であり、現行のXFG対応製剤ではありません。

結果を読む前に、用語を4つ確認します。
クラークの方は、rVEと非劣性の2つだけで結構です。

先に、この試験から出ない数字を確認します。
プラセボまたは無接種の対照群がありません。したがって、「無接種と比べて何パーセント発症を減らしたか」という絶対的なワクチン有効性は、この試験からは直接算出できません。
下の枠、評価しているのは、mRNA-1273を対照とした相対的ワクチン有効性、rVEです。 次の9.3パーセントという数字を正しく読むために、この前提が要ります。
実薬対照試験でありプラセボ群がないため、無接種と比較した絶対的ワクチン有効性は算出できません。評価されているのはmRNA-1273を対照とした相対値です。

左、相対的ワクチン有効性、rVEは9.3パーセント。99.4パーセント信頼区間はマイナス6.6から22.8、p値は0.0005。事前に定めた非劣性基準を達成しました。
右、中和抗体価のGMR、BA.4/5に対する29日目の値が1.3。95パーセント信頼区間は1.2から1.5。mRNA-1283群で高い抗体応答が得られています。
一番下の注釈を読み上げます。65歳以上のサブグループの数値は、原著の補遺の該当テーブルを特定できるまで、本資料には掲載していません。もし高齢者ではどうか、と聞かれた場合は、数値を挙げずに「出典を確認中」とお答えください。
rVE 9.3%(99.4%CI ―6.6〜22.8、p=0.0005)で非劣性基準を達成。BA.4/5に対する29日目のGMRは1.3(95%CI 1.2〜1.5)。65歳以上のサブグループ値は出典の特定ができるまで本資料には掲載していません。

9.3という数字には、2つの誤読があります。
誤読�@、「エムネクスパイクの有効率は9.3パーセントしかない」。違います。これは従来型と直接比べたときの相対的な差であり、絶対的な有効率ではありません。前の前提がここで効いてきます。
誤読�A、「9.3パーセント優れていることが証明された」。これも違います。99.4パーセント信頼区間の下限がマイナス6.6で、ゼロをまたいでいます。ですので優越性は示されていません。
下の枠、示されたのは、下限が事前に定めた非劣性マージンを下回らなかったこと、すなわち非劣性です。「非劣性」は「まったく同じ」でも「優れている」でもありません。 研修医の先生には、今日ここだけでも覚えて帰っていただきたいところです。
rVE 9.3%は絶対的有効率ではなく、また優越性の証明でもありません(99.4%CI下限が0をまたぐため)。示されたのは非劣性であり、「同等」とも「優れている」とも異なります。

GMR 1.3の意味です。赤い枠に書いたとおり、「抗体が1.3倍だから予防効果も1.3倍」ではありません。抗体価と実際の予防効果は、単純な比例関係ではありません。
その下、抗体価は免疫原性の重要な指標ですが、実際の感染予防・重症化予防には、T細胞応答を含む複数の免疫機構が関与します。 一番下は運用ルールです。窓口では抗体価の数値には触れず、「臨床試験で従来型に劣らない効果が確認されています」まで。数字を出すと必ず次の質問が来ますので、ここで止めてください。
抗体価は免疫原性の指標であり、予防効果と比例するものではありません。窓口対応では抗体価の数値に言及せず、「従来型に劣らない効果が確認されている」までとします。

グラフを3つ並べています。濃い色がエムネクスパイク10マイクログラム、薄い色が従来型50マイクログラムです。 注射部位疼痛、68.5パーセント対77.5パーセント。
局所反応の全体、70.3パーセント対78.4パーセント。
全身反応の全体、64.4パーセント対64.2パーセント。 ここを見てください。局所反応は明らかに差がありますが、全身反応はほとんど同じです。 右の青い枠。少なくとも本試験結果は、mRNA用量だけから反応原性の程度を予測できないことを示しています。量が5分の1になったから副反応が全体的に減る、という単純な話ではない、ということです。 下の注記のとおり、重篤な有害事象は両群で同程度、全体として安全性は従来型とおおむね同程度でした。
注射部位疼痛68.5%対77.5%、局所反応全体70.3%対78.4%、全身反応全体64.4%対64.2%。局所反応はmRNA-1283で少ない一方、全身反応はほぼ同等です。mRNA用量と反応原性は単純な比例関係にありません。重篤な有害事象は両群同程度でした。

前の項目を受けての注意です。赤い枠、成立しない説明として、「10マイクログラムになったので副反応全体が減った」。mRNA量と副反応の頻度・程度は、単純な比例関係ではありません。
下の箱が窓口での言い方です。読みます。「従来のワクチンとおおむね同程度の安全性が確認されており、注射部位の痛みは試験ではやや少ない結果でした」。
一番下、個別の頻度を数字で答える必要はありません。詳しく聞かれたら医師へおつなぎください。
副反応の頻度はmRNA量に比例しません。窓口では「従来型とおおむね同程度の安全性が確認されており、注射部位の痛みは試験ではやや少ない結果でした」までとし、個別の頻度は医師が対応します。

パート4です。「利点とトレードオフ」。副題に、「新しい方が優れている」と言ってよいか、と書きました。ここは結論から言うと、言えません。理由をこれから見ていきます。
Part 4では、抗原設計を絞ることの利点と、それに伴うトレードオフを扱います。

利点を2つ挙げています。
1番、安定性。mRNA配列が短く、開発当初から冷蔵条件での安定性向上が目標の一つとされてきました。
2番、混合ワクチン。インフルエンザとの混合ワクチン、mRNA-1083への展開も見据えた設計です。
ただし、下の赤い枠を必ずセットで見てください。「mRNAが短いから必ず保存性が高い」と単純化しないでください。実際の保存安定性は、脂質ナノ粒子の組成、製剤条件、容器、安定性試験の結果などで決まります。
そして最後の一行、院内管理は理論上の特徴ではなく、最新の電子添文の保存条件に従います。
看護師・クラークの皆さんは、ここだけ覚えていただければ結構です。保存の根拠は電子添文、これが唯一です。
短いmRNA配列による冷蔵安定性の向上は開発目標の一つですが、実際の保存条件はLNP組成・製剤条件・容器等により決定されます。院内管理は最新の電子添文の記載に従います。

話す一方で、絞ることの代償もあります。上に書いたとおり、全長スパイクに存在する抗体エピトープやT細胞エピトープの一部は、この設計には含まれません。またNTDとRBDは、変異が比較的蓄積しやすい領域でもあります。
ただし、青い枠が大事です。これは「mRNA-1283ではT細胞免疫が起こらない」という意味ではありません。
mRNA-1283でも、NTD・RBDに対するCD4陽性・CD8陽性T細胞応答は誘導されることが報告されています。 エピトープの範囲が狭くなることと、細胞性免疫が誘導されないことは、別の問題です。下に出典を2本挙げていますので、質問が出たらこちらをご覧ください。
全長スパイクのエピトープの一部は本設計に含まれず、NTD・RBDは変異が蓄積しやすい領域です。ただしmRNA-1283でもCD4陽性・CD8陽性T細胞応答は誘導されることが報告されており(Paila 2026、Freyn 2026)、エピトープ範囲の縮小と細胞性免疫の有無は別問題です。

結論です。赤い枠、NextCOVE試験だけを根拠に、mRNA-1283がmRNA-1273より臨床的に優れているとは言えません。
その下、中和抗体価はmRNA-1283で高い結果でしたが、それが長期的な感染予防・重症化予防でどの程度の差につながるかは、今後の実臨床データを待つ必要があります。原著の著者自身も、臨床的な利益の有無は市販後の評価で確認する必要があると結論しています。
一番下、最も正確な一文として、「少ないmRNA量で、従来型に劣らない有効性と免疫応答を示した、新しい抗原設計のワクチン」。困ったらこの一文をそのまま使ってください。
NextCOVE試験の主要な結論は非劣性であり、臨床的優越性は示されていません。原著著者も市販後評価の必要性を述べています。最も正確な表現は「少ないmRNA量で、従来型に劣らない有効性と免疫応答を示した、新しい抗原設計のワクチン」です。

最後、パート5です。ここからは全職種で共有します。今日いちばん実務に直結する部分ですので、全員お聞きください。
Part 5は全職種共通の実務事項です。

4行あります。
承認、2026年8月19日、オミクロン株XFG対応として承認されました。
接種量、1回0.2ミリリットル、mRNAは10マイクログラム。米印で、スパイクバックス12歳以上用は0.5ミリリットル、と併記しています。剤形、プレフィルドシリンジです。
供給、スパイクバックス12歳以上用は本年度の販売予定なし。6ヵ月から11歳用は2026年10月下旬頃から。
つまり、今シーズンの12歳以上のモデルナ製は、エムネクスパイク一択ということになります。
2026年8月19日にXFG対応として承認。1回0.2mL(mRNA 10μg)のプレフィルドシリンジ。スパイクバックス®12歳以上用は本年度の販売予定がなく、6ヵ月〜11歳用は2026年10月下旬頃からの供給予定です。

定期接種の対象です。上、65歳以上の方。
下、60歳から64歳で、心臓・腎臓または呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活が極度に制限される方、またはHIVによる免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方。
太字の部分が要件です。ここが抜けると案内が変わってしまいます。
赤い枠。「基礎疾患があれば60歳から定期接種」ではありません。心疾患・慢性腎臓病・呼吸器疾患があるというだけで全員が対象になるわけではなく、いま読み上げた程度の要件があります。
迷う場合は自己判断せず、医師または事務長へ確認してください。ここは実際の問い合わせで最も誤案内が起きやすいところです。
定期接種の対象は65歳以上、および60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能障害により身の回りの生活が極度に制限される方、またはHIVによる免疫機能障害により日常生活がほとんど不可能な方です。基礎疾患の存在のみでは対象になりません。判断に迷う場合は医師または事務長へ確認します。

実務で最も大事な項目です。接種前に、必ず声に出して3点確認します。
下の赤い枠、「同じモデルナのコロナワクチンだから同じ量だろう」という思い込みが最も危険です。一番下に書いたとおり、この3点は保冷庫と準備台の両方に掲示します。掲示物の作成期限は、この場で決めましょう。
接種前に①製品名、②対象年齢、③1回の接種量の3点を声に出して確認します。同一メーカー品であっても接種量が異なります。3点は保冷庫と準備台の双方に掲示します。

窓口で実際に聞かれる2問です。
1問目、「去年と違うワクチンですか?」。
答え、はい。同じモデルナ社のmRNAワクチンですが、抗原の設計が変わっています。以前はスパイクタンパク質全体を作らせる設計でしたが、新しいものはその中でも免疫反応の重要な標的となる部分を中心に作らせる設計です。
2問目、「量が5分の1なら、効き目も5分の1では?」。
答え、いいえ。従来のワクチンを薄めたものではなく、作らせるタンパク質そのものを設計し直したワクチンです。そのうえで臨床試験を行い、従来のワクチンに劣らない効果が確認されています。 下の注記、患者さんにNTD・RBD・HATMという用語まで説明する必要はありません。医学的な判断を求められたら医師へおつなぎください。
窓口で頻出する2問への回答例。専門用語を用いる必要はなく、医学的判断を求められた場合は医師が対応します。

今日の締めくくりとして、30秒で説明する原稿を用意しました。
読み上げます。
「今年のモデルナのワクチンは、これまでのものを単純に少なくしたわけではありません。 以前はウイルス表面のスパイクタンパク質全体を作らせる設計でしたが、新しいワクチンでは、その中でも免疫反応の重要な標的となる部分を中心に作らせる設計に変わっています。mRNAの量は従来型より少ない10マイクログラムですが、臨床試験では従来のワクチンに劣らない効果が確認されています。」
これで十分です。これ以上詳しく聞かれたら医師へおつなぎください。せっかくですので、いまこの場で一度、声に出して読んでみてください。
標準の説明スクリプト。この長さで十分であり、これ以上の説明を求められた場合は医師が対応します。

今日出てきた言葉を5つにまとめました。
この5語が分かれば、別紙の模式図はそのまま読めます。
全職種共通の到達点となる5語。これらを理解していれば、別紙の比較模式図および本資料の構造図を読解できます。

まとめます。5点です。
配布資料の第3版と別紙模式図に、今日の内容はすべて入っています。手元に置いてご確認ください。
本日の要点5項目。詳細は「院内勉強会資料 第3版・確定稿」および別紙比較模式図を参照してください。

出典です。
中心となるのは1番、Chalkiasらの2025年のLancet Infectious Diseases、NextCOVE試験の原著です。
2番、抗原構造の根拠であるClinicalTrials.govの治験実施計画書。5アミノ酸リンカーはここに記載があります。
3番と4番がT細胞免疫の論文。
5番が第2a相の用量探索試験です。
一番下の注記が重要です。
接種量・保存条件・接種対象は、必ず最新の電子添文および厚生労働省の通知でご確認ください。本資料は院内教育用であり、添付文書に優先するものではありません。
以上です。ご質問をお受けします。
主要文献一覧。本資料は院内教育用であり、添付文書に優先するものではありません。接種量・保存条件・接種対象は、必ず最新の電子添文および厚生労働省の通知を確認してください。
このページでは「mRNA-1283」「mRNA-1273」といった番号が出てきます。読みにくいというお声をいただきましたので、それぞれが何を指すのか、そして混同しやすい点について、あらためて整理しておきます。
このページで比べているのは、いずれもモデルナ社の新型コロナワクチン2種類です。エムネクスパイクが新しい方、スパイクバックスがこれまで使われてきた方です。
| 販売名 | 論文などでの呼び方 | 作らせるもの | 1回の量(12歳以上) |
|---|---|---|---|
| エムネクスパイク | mRNA-1283 | スパイクの重要な2か所 | 0.2 mL(mRNA 10 マイクログラム) |
| スパイクバックス | mRNA-1273 | スパイク全体 | 0.5 mL(mRNA 50 マイクログラム) |
【覚え方】
数字が1つ違うだけで紛らわしいのですが、
「8」が入っている 1283 が新しい方、と覚えていただければ十分です。
mRNA-1273、mRNA-1283といった番号は、開発中につけられた社内の管理番号です。成分や強さ、新しさの順番を表しているわけではありません。医薬品は承認されて初めて販売名がつくため、論文の多くは開発中の番号のまま書かれています。
同じモデルナ社には、mRNA-1345(RSウイルスのワクチン)、mRNA-1010(インフルエンザ単独のワクチン)などもあります。番号だけを見ても中身は分からない、とお考えください。
エムネクスパイクは、新型コロナウイルス感染症だけを対象としたワクチンです。インフルエンザを予防する効果はありません。インフルエンザワクチンの代わりにもなりません。
これをあらためて申し上げるのは、混同されやすい理由が2つあるためです。
エムネクスパイクの設計を説明する際に、インフルエンザウイルス由来の膜貫通ドメインという言葉が出てきます。これは、作られたタンパク質を細胞の表面につなぎ止めておくための「留め具」の部分だけを借りているもので、長さにしてアミノ酸23個分です。
インフルエンザの抗原そのものは含まれていません。したがって、これを接種してもインフルエンザに対する免疫はつきません。部品の一部を借りているだけで、インフルエンザワクチンではない、とご理解ください。
モデルナ社には、インフルエンザと新型コロナの混合ワクチンがあり、mRNA-1083という番号がついています。1083と1283。数字がよく似ています。
さらに紛らわしいことに、この混合ワクチンの新型コロナ側の成分が、まさに mRNA-1283 です。つまり次のような関係になっています。
mRNA-1083(混合ワクチン)
= mRNA-1283(新型コロナ)+ mRNA-1010(インフルエンザ)
エムネクスパイク自体は混合ワクチンではなく、混合ワクチンの「新型コロナ側の部品」として使われています。
なお、この混合ワクチンは日本では承認されていません。当院でお受けいただけるエムネクスパイクは、新型コロナウイルス感染症のみを対象としたワクチンです。インフルエンザワクチンをご希望の方は、別途、季節性インフルエンザワクチンをご案内いたします。同じ日に、腕を分けて接種することも可能です。
本ページの内容は2026年8月時点の情報に基づいています。ワクチンの内容や取り扱いは変更されることがありますので、接種にあたっては最新の説明書および担当医の説明をご確認ください。ご不明な点は、遠慮なく当院スタッフまでお尋ねください。
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