主な病原微生物 | マイコプラズマが原因の場合の特徴 |
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・ウイルス ・マイコプラズマ ・クラミドフィラ |
・症状やX線では判断しにくい ・家庭内、学校内感染 |
多くがウイルス性だが咳が長引く場合や流行時には疑う。
主な病原微生物 | マイコプラズマが原因の場合の特徴 |
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マイコプラズマ | ・長引く乾いた咳 ・粒状影、淡い陰影、気管支壁の肥厚 ・38℃以上の高熱 |
肺炎の多くはマイコプラズマ性。まれに重症する。
主な病原微生物 | マイコプラズマが原因の場合の特徴 |
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・細菌性 ・マイコプラズマ(重複感染もある) |
・湿った咳がしつこく出る ・細菌との重複感染で気管支が痰で詰まる |
肺炎球菌などの細菌とマイコプラズマ感染症の鑑別は重要。重複感染の場合は線毛上皮が剥がれて痰が出にくい。
胸部診察所見(聴診)に乏しい。
血液検査にてWBC→、赤沈↑、CRP(+)寒冷凝集反応(+)がみられる。→マイコプラズマ肺炎を考える。
確定診断は、血清抗体価の測定(ペア血清による補体結合反応、関節凝集反応)による。
マイコプラズマ気管支炎・肺炎の急性期診断は、LAMP法およびイムノクロマトグラフィー法による抗原診断が有用です。
初期症状は風邪とよく似ており、長期間咳症状が持続する肺炎マイコプラズマは、 感染初期の確定診断が重要となります。
PCRによる遺伝子検査は感度、特異度が高く、発症初期の確定診断に最適です。
検体採取から判定結果までが1時間以内(検査所要時間約40分)、 患者さまに受診日当日に検査結果の提供が可能です。
従来のマクロライド系抗菌薬に対する薬剤耐性の有無についても、検査することが可能となります。
このPCR検査のもう一つの利点が、マイコプラズマ感染症のファーストチョイスであるマクロライド系抗生剤が効くかどうかがわかります。
マクロライド系抗生剤が効果無いとわかれば、最初から違う種類の抗生剤を投薬する事ができます。
検査機器が1台しかなく、検査時間もかかる為、発熱、咳の方全例にPCR検査する事はできませんが、診察の結果、マイコプラズマ感染症が疑われれば検査して早期に診断、治療した方が良いかもしれません。
検査代のみの金額ですが、3割負担で1700円、2割負担1130円、1割負担570円です。(別に診察料、処方箋料等がかかります)
マイコプラズマのPCR検査結果が出るには、最近はマイコプラズマPCR検査が混み合っているので、3から5日かかります。
マイコプラズマ肺炎の抗体検査は、感染の診断や感染状況の把握に役立つ方法の一つです。
抗体検査は、患者の体がマイコプラズマに感染した際に、免疫系が産生する特定の抗体(IgMやIgG)を検出することで診断します。
マイコプラズマ肺炎に対する抗体検査は、一般的に血液検査を通じて行われます。
以下の2種類の抗体が検出されます。
ペア血清によるマイコプラズマ肺炎の診断は、患者の血清を発症初期と回復期の2回採取し、抗体価の変動を確認することで行います。
この方法は、抗体の動的な変化を確認できるため、感染の有無や時期をより正確に判断するのに有効です。
ペア血清法では、通常以下の2つの血清を比較します。
両方の血清で、マイコプラズマに対するIgMおよびIgG抗体のレベルを測定します。
感染があった場合、急性期から回復期にかけてIgG抗体の価値が有意に上昇することが確認されます。
特に、抗体価が4倍以上の上昇を示した場合、現在または最近の感染が強く疑われます。
検査会社に依頼する際は、「マイコプラズマ抗体価ペア血清検査」や「マイコプラズマ抗体価動態検査」などと呼ばれることが一般的です。
また、検査内容としては、「マイコプラズマ抗体(IgM, IgG)ペア血清測定」を指定するのが適切です。
検査会社の具体的な名称やオプションは会社によって若干異なることがありますが、「ペア血清によるマイコプラズマ抗体価測定」で伝えれば理解してもらえるはずです。
マイコプラズマ肺炎は子どもに多く見られる感染症ですが、大人も感染する可能性があります。
症状は子どもとほとんど同じですが、大人と子どもでは異なる特徴が3点あります。
ここでは、大人の症状の特徴をご紹介します。
ひとつめは症状が「悪化しやすい」ことです。
大人、特に高齢者は症状が悪化しやすいです。重症の肺炎になると胸に水が溜まる胸水貯留や呼吸不全を引き起こす可能性があります。
ふたつめは「湿った咳にかわる」ことです。
マイコプラズマ肺炎では、乾いた咳が長期間続くという特徴的な症状があります。
しかし、大人の場合は気道の炎症によって分泌物が増加し、乾いた咳から痰が絡んだような湿った咳になることがあります。
みっつめは「熱が上がったり下がったりする」ことです。
1日中熱が出ているわけではなく、熱が上がったり下がったりする「弛張熱(しちょうねつ)」という現象がみられることがあります。
子どもの場合は比較的症状は軽く、ほとんどのケースが外来で治療が可能です。
一方、大人は症状が悪化しやすく、重症化して入院が必要になる場合もあるため注意しましょう。
マイコプラズマ肺炎にかかるのは14歳以下の子どもが8割とされていますが、大人でも発症します。
症状は子どもとほとんど同じですが、大人のマイコプラズマ肺炎には、子どもにはない特徴もあります。
症状が長引くことがあります。
しかし、一日中熱が出ているわけではなく、ある決まった時間になると熱が上がり、しばらくするとまた下がるという弛張熱の現象が見られます。
マイコプラズマ肺炎の特徴的な症状として、痰のからまない乾いた咳が長く続きますが、大人の場合は、気道の炎症により分泌物が増し、乾いた咳から湿った咳になることがあります。
大人は子どもに比べて症状が重くなりやすく、特に高齢者は胸に水が溜まる「胸水貯留」や呼吸不全を引き起こし、入院が必要になることもあります。
今までは外来にて採血し結果が出る血液検査としてマイコプラズマ抗体定性(血清IgM抗体を検出する方法)を実施していました。
しかし問題点として本法はマイコプラズマ感染初期(急性期)から治癒後約1年6か月まで陽性(感染を示す)であることもあり、また擬陽性(感染がないのに感染を示す)も多く、血液検査(血清抗体価)と併用して診断する必要がある欠点の多い検査法でした。
細菌とウイルスの中間の性質を示すのがマイコプラズマによる感染症です。
10分以内でIgM抗体を検出するイムノカード法が期待されましたが、健常成人でも約30%に陽性例が存在すること、マイコプラズマ急性感染後に1年以上陽性が持続する症例の存在することなどよりイムノカード法はIgM抗体の存在を意味するが、急性感染を確定する方法ではなく、また前向き研究ではマイコプラズマ肺炎と診断された症例のうち1/3の症例でしか陽性とならず、実地医療での有用性は低いと考えられ使われてきました。
したがってマイコプラズマ感染症は検査ではなく主に臨床診断でマイコプラズマ肺炎と診断され治療されることが大半でした。
平成26年イムノクロマトグラフィーを用いたマイコプラズマの迅速診断キットが保険収載になりました。
綿棒で咽頭ぬぐい液を採取し、 抽出液に綿棒を浸してから液をプレートに滴下すれば、15分ほどで判定できる。
インフルエンザの迅速診断キットと同様の手順です。
検査時間は15分で、検体検査実施料は150点です。
マイコプラズマ肺炎とは、急性気管支炎、肺炎の原因微生物です。
多くの人の咽喉に生息しているマイコプラズマという病原体によって起こる肺炎のことです。
感染力が弱く、発病率も低いため健康な人の場合は発病しません。
しかし、体力が低下している時や、咳をしている人の近くにいてマイコプラズマを一度にたくさん吸い込むと発病します。
マイコプラズマは、RSウイルスなどの風邪や気管支炎、肺炎を起こすウイルスや細菌と症状が似ており、区別が難しいため、迅速診断キットを用いて判断します。
RSウイルスやインフルエンザウイルスでもなく、咳が中心の風邪症状であれば、マイコプラズマを疑い検査します。
マイコプラズマ肺炎は、細菌「肺炎マイコプラズマ」に感染することによって引きおこされる呼吸器感染症です。
多くの人はマイコプラズマに感染しても、気管支炎などの軽症がほとんどですが、一部の人は肺炎となり、重症化することもあります。
以前は4年周期で流行していたため、「オリンピック熱」とも呼ばれていました。
現在では1年を通じて流行がみられ、冬にやや増加する傾向があります。
一般的な風邪やインフルエンザと同じように、飛沫感染や接触感染によりうつり、感染から発症するまでの潜伏期間は2〜3週間ほどです。
主な症状としては、発熱や全身の倦怠感、頭痛、痰の絡まない乾いた咳が見られます。
咳は熱が下がった後も2〜3週間ほど続くのが特徴です。
初期症状が風邪と似ているため見分けがつきにくいですが、乾いた咳が続くようだとマイコプラズマ肺炎の可能性があります。
10代から30代までの若い人が感染することが多く、発病してもほとんどの場合軽症ですみます。
約40%の人が1歳までに、約65%の人が5歳までに感染するといわれており、大人(成人)になるまでには約97%がマイコプラズマに感染しています。
マイコプラズマ肺炎の一般的な症状はせき、発熱、頭痛、倦怠感で、普通の風邪と見分けがつかず診断や治療・入院が遅れるケースが多くみられます。
普通のかぜとの違いは、せきに痰がからまず長く続き、胸や背中の筋肉が痛くなることがあるという点と、38度以上の高熱を伴うという点です。
マイコプラズマ肺炎は抗生物質などの薬を使用せず、自己免疫のみで治すことが可能です。
しかし、自力で治した場合は咳が長引く可能性があります。
自力で治す場合は、休息と栄養を取りしっかりと体力を回復させることが重要です。
症状を悪化させずに早く治したいのであれば、病院に行き適切な治療を受けましょう。
マイコプラズマ肺炎の症状が治まり、仕事や学校に復帰するときは周りへ感染させないよう考慮することが重要です。
公的な機関が設ける出勤・出席停止期間はありません。
しかし、マイコプラズマは、咳やくしゃみなどで拡大する感染症です。
発症後4〜6週間は感染者の飛沫から排出されるため、普段の生活の中で周りへ注意する必要があるでしょう。
大人も子どもも注意すべきことは何なのか、しっかり確認しましょう。
マイコプラズマ肺炎に関して公的な機関が設ける出勤停止期間はありません。そのため、健康上のリスクが軽度で、症状が比較的軽い場合には出勤することは可能です。
しかし、成人の場合は子どもよりも重症化しやすいとされていますので、熱やひどい咳など、つらい症状がある場合には、無理せずに仕事を休むことが賢明です。
また、マイコプラズマ肺炎はインフルエンザと同様に飛沫感染によって感染が広がります。マスクをして感染を広げないようにしましょう。
病原菌は発症後4〜6週間など長期間排出されます。また、発熱などの症状が落ち着いても数週間にわたって咳が続くことがあります。
周りに感染を広げないために、咳エチケットには十分気をつけましょう。
咳や痰の症状がつらいけど、仕事を長く休むわけにもいかない、と思っている人は多いのではないでしょうか?
学校への登校については、出席停止の定めはありません。元気になってきたらかかりつけの医師と相談しながら登校を検討しましょう。
発熱や倦怠感が落ち着いても咳が残ることがあります。喘息様気管支炎となることもあるため、注意が必要です。
症状が重く、咳に伴う呼吸困難感がある場合は、無理せず休養しましょう。しかし、咳や息切れといった症状が悪化する場合、改めて医療機関を受診するのが適切です。
医療機関を受診する際は呼吸器内科か耳鼻咽喉科へ行くとスムーズでしょう。
マイコプラズマ肺炎は学校保健安全法で第三種の感染症として分類されています。
第三種の感染症は「症状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで出席停止」とされていますので、明確な出席停止期間は定められておりません。
一般的には、解熱してから2日程度たてば日常生活に支障がないレベルと考えられています。
マイコプラズマ肺炎に感染しやすいのは濃厚接触者となる家族です。
感染力そのものはそこまで強くなく、短時間一緒に過ごしただけではうつることはありません。
マイコプラズマ肺炎に感染しない・させないためにも以下の2点が重要となります。
うつさないためにできる予防方法として、マイコプラズマ肺炎の感染経路や潜伏期間を理解し、対策をしていきましょう。
マイコプラズマ肺炎の潜伏期間は1〜2週間と長いです。
感染力も強くはなく、短期間一緒に過ごしただけでうつる確率は低いとされています。
症状があらわれていなくても病原菌は排出され、排出ピークは症状発症時です。
発症1週間は感染力が強く、その後4〜6週間は排出されます。
そのため、家族のように長時間一緒に過ごすことで感染率が高くなります。
そして主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。
感染した人の咳やくしゃみによる飛沫を吸い込んだり、感染者がふれたものにさわったあとに自身の鼻や口などの粘膜にふれてしまったりすることで感染します。
発症から1週間は原因菌の排出量が多く、感染力が強いため、その期間は特に注意が必要です。
病原菌の排出ピークが過ぎていたとしても、感染する可能性は十分にあるため、治ったあともできる限り長期間の感染予防を心がけましょう。
マイコプラズマ肺炎は、手洗い・うがいで予防できます。さらに、他の人にうつさないためにも人混みなどは出来るだけ避けるようにしましょう。
マイコプラズマ肺炎の症状は咳や発熱症状です。
病原菌を含んだ飛沫が広がりやすいため、マイコプラズマ肺炎にかかったら、マスクを着用するなどの咳エチケットを心がけましょう。
また、病原菌のついた物品を共有することでうつることがあります。
タオルや食器類は家族であっても共有しないようにすることが大切です。
さらに、マイコプラズマ肺炎の病原菌は、熱や界面活性剤に弱いという特徴があります。
石鹸を使用した手洗いやうがいを心がけることにより予防ができるでしょう。
マイコプラズマ肺炎を早く治す方法は、医師から処方された薬をしっかり服用して休養を取ることが一番の近道です。
抗生物質での治療が一般的に行われます。
自力で治すことも可能ですが、基礎疾患をお持ちの方や高齢者は重症化することもあります。
市販で症状を和らげる薬を購入することはできても抗生剤は手に入らないため、完治には時間がかかると思ってよいでしょう。
そしてマイコプラズマ肺炎は仕事の出勤停止期間や学校の登校禁止期間は定められていません。
症状が落ち着いたら出勤や登校するようにしてください。
感染経路は飛沫感染もしくは接触感染で、発症前から病原菌を排出します。
発症1週間前から発症後6週間までは家族や周囲の人にうつさないようにマスクをするなどして感染予防を心がけましょう。
周囲にマイコプラズマ肺炎にかかった人がいる場合は、風邪やインフルエンザの時の予防方法と同様に手洗い・うがいを心がけましょう。
マイコプラズマという菌は従来4年ごとにオリンピックのある年に流行していましたが、最近この流行は崩れ、今年は過去2年と比較して増加しており、またこの秋に大流行し、多くの肺炎患者がでました。
今回はこのあまり聞きなれない、しかし大変多くの方が感染している疾患をとりあげました。
これは細菌とウイルスの中間のものといわれ、細菌は細胞壁をもっていますが、マイコプラズマにはありません。これがこの菌の最大の特徴です。
一般的に使われている抗生剤はペニシリンやセフェムといわれているもので、これは細菌の細胞壁を壊します。
人間には細胞壁が存在しないので細菌のみを殺します。
しかし、マイコプラズマは細胞壁を持たないので、これらの抗生剤は無効です。
秋から春にかけて流行し、年齢は5〜10歳に多いと言われますが、学童期の肺炎の3割、小学高学年から中学生にかけては7割といわれており、子供の肺炎の中でもかなりの数を占めます。
最近のデータではもっと小さい年齢にも多いだろうともいわれております。
症状は発熱と咳嗽であり、一般に全身状態はそれ程悪くないのですが(重症のこともあります)、適切に治療をしないと咳が長引きます。
発熱は微熱程度のものから高熱のものまで様々です。
ほとんど発熱がない、またはすぐに解熱してしまうこともあります。
はじめは頭痛、倦怠感、鼻水、熱のような風邪症状ですが、とにかく咳がひどく次第に強くなり、激しくなるのが特徴です。
黄色い痰はあまりでません。
また医師側では聴診でわかりにくいというのも特徴です。
レントゲンをとってはじめて肺炎と診断がつくのも珍しくありません。
したがってあまりにも咳が長い、薬を飲んでも熱が下がらないといった場合にはレントゲン検査をしていただいています。
この菌自体は自然治癒することが多いといわれていますが、咳が非常に長く続き(1ヶ月以上のことも)、また重症の肺炎や様々な合併症を起こすことも多いのです。
よってこの菌を考えた適切な抗生剤投与が必要です。抗生剤はマクロライドやテトラサイクリンと呼ばれている系列のものを使います。
ただこれらの薬には問題があります。
まずマクロライドですが、基本的にとても苦い薬です。
当院ではクラリス、ミオカマイシンの2剤がありますが、特にクラリスは苦いです。
しかし効果はクラリスの方がよいですので、薬を飲めそうな子はクラリスを第一選択にしています。
5歳以上の子供は小さい錠剤がありますのでこちらにしてみるとよいでしょう。
クラリスの粉は苦い味を苺味でコーティングしていますので、これを溶かさないように工夫が必要です。
ジュース、スポーツドリンク、ヨーグルトなどで飲ますのは避け、水、牛乳、バニラアイスで飲ませるとよいでしょう。
またムコダインという痰をきる薬と混ぜると苦くなります。
それでもダメな場合はミオカマイシンを使います。
もう一つのテトラサイクリンは当院ではミノマイシンを使っていますが、乳幼児の歯や骨の発育を阻害する副作用があるため6歳以下には重症例を除き使いません(8歳以上から)。
そして最も大事なことは最低10日間は内服する必要があります
。通常3日〜1週間で発熱や咳嗽は改善しますが、このマクロライドやテトラサイクリンは菌を殺すより、押さえ込んでそのうち死ぬという薬なので、中途でやめるとまた菌が復活し、ぶり返すことになります。
最も多いのは発疹、胃腸症状です。下痢、嘔吐、腹痛、食欲不振などは多くみられ、まれに膵炎があります。
また一過性の肝障害、髄膜炎、脳炎、心筋炎などの重篤な合併症もあります。
胸膜炎をおこし、胸痛がみられたりすることもあります。
そして問題なのは喘息を悪くしたり(これは多いです)、また喘息を発症させるともいわれております。他にも様々なものがあります。
潜伏期は2、3週間で、流行には家庭、保育所、学校など比較的濃厚な接触が必要です。
学校保健法では条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる疾患に入っていますが、実際は急性期の症状が改善した後に全身状態のよいものについては登校可能となっており、流行阻止より患者本人の状態によって判断するものとなっております。
この感染症の後の予防接種を受けるには4週間以上あけるのが望ましいといわれています。
昨年から今年にかけてマイコプラズマ肺炎が流行しています。
マイコプラズマ肺炎は、名前のとおり、マイコプラズマという細菌によって起こります。
マイコプラズマ肺炎は、感染から発症までの潜伏期間が1〜3週間ぐらいで、痰(たん)や唾(つば)で広がる飛沫感染(ひまつかんせん)を起こします。
肺炎としての発症のピークは8歳から9歳です。
発熱、咳(せき)、鼻水などの症状があり、特に咳は、最初乾いた咳から痰の絡んだ咳になり、2週間程度続きます。
マイコプラズマは、乳幼児では風邪のような症状ですが、学童期以降や大人の場合は肺炎を起こします。
マイコプラズマは細菌ですので、細菌を殺す抗菌薬による治療が効果を発揮します。
しかし、マイコプラズマに効く抗菌薬は、マクロライド系抗菌薬(エリスロシン、クラリス、クラリシッド、ジスロマックなど)、テトラサイクリン系抗菌薬(ミノマイシンなど)、ニューキノロン系抗菌薬(クラビット、オゼックスなど)に限られます。
抗菌薬が効きにくいマイコプラズマが増えています。大人では多くないのですが、子どもでは既に90%近くが、マクロライド系抗菌薬が効かないと言われています。
マイコプラズマ肺炎は、自然にも治りますが、抗菌薬で症状を軽くすることができます。
そのため子どもでは、テトラサイクリン系抗菌薬、ニューキノロン系抗菌薬の効果があると考えられます。
しかし、テトラサイクリン系抗菌薬は、8歳以下の子どもに、2週間以上長く使用すると歯が黄色くなったり、骨の発達に影響を受けると言われています。
短期間で適切に使用するのであれば、副作用はかなり少なくなります。
ニューキノロン系抗菌薬も、関節への影響から子どもにあまり使用されませんが、最近、子どもに安全なニューキノロン系抗菌薬があります。
4日以上の発熱とひどい咳が続く場合は、マイコプラズマかもしれませんので、かかりつけの医師に相談しましょう。
マイコプラズマ肺炎の治療期間について一般的にマイコプラズマ肺炎は、医師の指示通りに薬を服用して安静にしていれば一週間程度で治り、軽症で済むことが多いです。
しかし、まれに重症化することもあります。合併症も発症することがあるため、注意が必要です。
そして実は自力で治すことも可能ですが、抗生剤を服用した場合と比べると回復までに時間がかかってしまうという事実もあります。
マイコプラズマ肺炎は何日で治すことができるのか、自力で治すことは可能なのか、この2点について詳しく解説していきます。
一般的に抗菌薬や咳止め、解熱剤を使用して安静に過ごした場合、治療開始から1週間程度で症状は改善してきます。
しかし、熱や頭痛などの症状が軽快した後も、3〜4週間ほど長期に渡って咳が続くことがあります。長く続く咳に対しては咳止めなどの対症療法がおこなわれることが多いです。
注意するべきことは、病院を受診して抗生物質をもらった場合についてです。
薬の種類によって期間は様々ですが、3〜14日は内服するよう医師から指示されます。
服用中に症状が早期に改善しても、身体から菌がいなくなったということではありません。
処方された抗生物質は必ず飲み切りましょう。
抗生物質を治療途中でやめてしまうと「耐性菌」が作られてしまうこともあります。
抗生剤が効かない「耐性菌」が感染を広めてしまうリスクにつながるため、周りの人を守るためにも抗生剤は医師の指示通り正しく内服しましょう。
マイコプラズマ肺炎はマイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)という微生物によって引き起こされ、学校の寄宿生などの若い人たちの間で流行が観察される肺炎であることから、非定型肺炎(異型肺炎)とよばれています。
成人までに97%がマイコプラズマの感染を受けており、大人では少ないが何回も感染することがあるとされています。
晩秋から早春にかけて罹患率が高く、罹患年齢は、幼児期、学童期、青年期が中心です。潜伏期間は約2〜3週間で、症状は発熱や全身倦怠、頭痛を伴った気分不快が3〜4日続き、咳がひどいのが特徴です。
また 咳は解熱後も3〜4週にわたり続く場合もあります。
マイコプラズマ感染症の診断はいくつか存在しましたが私たちの通常の診療で特に有用であるという検査はありませんでした。
培養検査は特有の培地が必要で、抗体検査は2回測定して比較するため、結果判明に時間がかかりました。
また遺伝子検査(LAMP法)は感度・特異度ともに優れた検査ですが、特殊なごく限られた施設でのみ検査可能です。
マイコプラズマ感染症は主に臨床診断で治療されることが大半でした。
そういう状況のなか、平成26年イムノクロマトグラフィーを用いたマイコプラズマの迅速診断キットが保険収載になりました。
当院ではクイックナビマイコプラズマを導入しました。ただしこのキットを成人肺炎の原因診断に多用することはないと思います。
成人の市中肺炎(院内肺炎の対義語です)ではまず細菌性肺炎と非定型肺炎に分類します。
マイコプラズマ肺炎は後者に分類されますが、その多くが軽症であるためにそれ以上の診断は必ずしも必要なく、マクロライド系抗生剤のもしくはニューキノロン系の投与で治療するようにガイドラインにも記載されています。
マイコプラズマはマクロライド系抗生剤に耐性が進み特に小児科領域では問題視することもあります。
現在、抗生剤に接したことのない自然界のマイコプラズマの30〜50%がマクロライド耐性と考えられていますが、マクロライド耐性菌は増殖力が弱く、またマイコプラズマ肺炎は菌の毒力による発症ではなく、免疫過剰による発症であることから菌の耐性化は重症化に直結しているとは考えられておりません。
また耐性化はマイコプラズマ肺炎大流行の直接的原因でもないとされています。したがって少なくとも現状ではマイコプラズマ肺炎は耐性菌であってもマクロライド系抗生剤が第1選択だと思われます。
マイコプラズマ肺炎もその他の非定型肺炎もマクロライド系抗生剤もしくはニューキノロン系抗生剤で治療するのであればマイコプラズマ抗原キットを成人に通常使用する必要性はないと考えられます。
しかし高熱や咳、気管支炎症状が続く場合や重症の非定型肺炎の場合は併用抗生剤の選択などで治療方針が変わる可能性があり、この検査は有用と考えられます。
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