9価HPVワクチン シルガード9は、子宮頸がんや尖圭コンジローマの原因となるヒトパピローマウイルス(Human Papillpma-virus:HPV)の感染を予防するワクチンです。
シルガード9の特徴や副反応について、さらに、HPVワクチン接種とあわせて子宮頸がん予防に大切な、子宮頸がん検診について紹介します。
シルガード9はヒトパピローマウイルス(HPV6/11/16/18/31/33/45/52/58型の9つ)の感染を防ぐワクチンです。
子宮頸がんや尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(Human Papillpma-virus:HPV)という、ごくありふれたウイルスの感染が原因で起こることが知られています。
シルガード9を接種することで、子宮頸がんの原因となるHPVの16、18、31、33、45、52、58型に加え、尖圭コンジローマの原因となるHPVの6、11型に対する抗体がつくられます。
シルガード9は、これにより子宮頸がんや尖圭コンジローマを予防するワクチンです。
シルガード9は年齢によって選択可能な接種回数が異なります。
事前に医師に接種回数を確認してください。
シルガード9は、通常腕の筋肉内注射します。
十分な予防効果が得られるよう、必ず決められた回数・スケジュールで接種して下さい。
決められた接種スケジュールで接種ができない場合は、医師に相談しましょう。
1回目にシルガード9を接種した場合には、その後の接種においてもシルガード9を接種してください。
以前にガーダシル、サーバリックスの接種を完了された方で、シルガード9を接種希望の方は合計3回期間内に接種する必要があります。
シルガード9の接種により、次のような副反応があらわれることがあります。
異常が認められた場合は、すぐに医師、看護師、薬剤師に相談してください。
一般的にワクチンを接種すると、接種した部位が腫れたり痛むことがあります。
これは、体の中でワクチン成分に対する反応が起こるための症状で、通常は数日間程度で治まります。
長く続くなど、気になる症状がある場合は医師に相談して下さい。
接種後、30分程度は安静にしてください。
また、接種後に体調の変化はあった場合には、すぐに医師に相談してください。
HPVワクチンの接種後に、めまい、ふらつき、失神などが起こることがあります。
転倒してけがをしないように、次の3つの注意事項を守ってください。
気分が悪くなったり、眩暈を感じたら、転倒しないように椅子にもたれかかる、しゃがむ、横になるなどしてすぐに受付や看護師、医師に知らせて下さい。
注射を打ったときの痛み、恐怖、興奮などによる刺激が脳神経のひとつである迷走神経を介して中枢に伝わり、心拍数や血圧が下がったりすることがあります。
そのため、気分が悪くなったり、めまいやふらつき、失神などが起こります。
これは、血管迷走神経反射と呼ばれ、多くの場合、注射後の失神が起こる原因と考えられています。
血管迷走神経反射は思春期の女性に多いという報告があります。
特に注射への恐怖心が強い方には注意が必要です。
ワクチンの接種を受けた後に、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動(動かそうと思っていないのに体の一部が勝手に動いてしまうこと)などを中心とする多様な症状が起きたことが報告されています。
この症状は専門家によれば「機能性身体症状」(何らかの身体症状はあるものの、画像検査や血液検査を受けた結果、その身体症状に合致する異常所見が見つからない状態)であると考えられています。
症状としては、
などいろいろな症状が報告されています。
「HPVワクチン接種後の局所疼痛や不安等が機能性身体症状をおこすきっかけとなったことは否定できないが、接種後1か月以上経過してから発症している人は、接種との因果関係を疑う根拠に乏しい」と専門家によって評価されています。
また、同年代のHPVワクチン接種歴のない方においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の「多様な症状」を有する方が一定数存在することが明らかとなっています。
このような「多様な症状」の報告を受け、様々な調査研究が行われていますが、「ワクチン接種との因果関係がある」という証明はされていません。
ワクチンの接種を受けた後や、けがの後などに原因不明の痛みが続いたことがある方は、これらの状態が起きる可能性が高いと考えられているため、接種については医師とよく相談して下さい。
参考:厚生労働省「小学校6年から高校1年相当の女の子と保護者の方へ大切なお知らせ(詳細版)
ワクチン接種後の「多様な症状」の発現状況については、これまでの臨床試験結果からでは判断できない点もあるため、今後さらに調査を行い、確認していく予定です。
※国の指針としては、20歳以上の女性において、2年に1回の受診が推奨されています。
シルガード9は子宮頸がんを100%予防できるわけではありません。
シルガード9の接種と併せて、20歳を過ぎたら子宮頸がんの早期発見、早期治療の為に、定期的に子宮頸がん検診を受けるようにしましょう。
日本は他国に比べて、子宮頸がんの定期検診受診率がとても低い状況です。
世界の各国では、子宮頸がん予防への意識が高く、アメリカやドイツでは約80%の女性が定期的に検診を受けています。
今は先進国では子宮頸がん検診は、多くの女性に必要な検診と捉えられています。
注)シルガード9の接種とあわせて、20歳を過ぎたら定期的に子宮頸がん検診を受けるようにしましょう。
A:気づいた時点でなるべく早く接種して、その後のスケジュールを継続して下さい。最初から接種をやり直す必要はありません。
A:シルガード9は3回接種することで、HPV感染を防ぐために必要な免疫が得られることが分かっています。一方で、9歳以上15歳未満の女性では初回接種から6-12ヶ月の間隔を置いて2回目の接種を行うことでも十分な免疫が得られることが分かっていますので、2回接種を選択することが可能です。
A:たとえワクチンを接種しても、子宮頸がんや尖圭コンジローマを100%予防できるわけではありません。20歳を過ぎたら、定期的に子宮頸がん検診を受けて下さい。
A:決められた回数の接種を完了する前に妊娠が判明した場合は、医師にご相談の上、次の接種を出産後まで延期して下さい。
A:シルガード9の接種によって子供ができにくくなるという報告はありません。
A:体調が極めて良くない時、熱が37.5℃以上あるときは、シルガード9の接種はできません。医師に相談のうえ、体調が回復してから接種して下さい。
A:他のワクチンを接種する場合、あるいはすでに他ワクチンを接種済の場合は医師にご相談下さい。
子宮頸がんの罹患年齢は出産年齢とも重なり、ライフイベントに様々な影響を及ぼす可能性があります。
本邦における子宮頸がんの発症数は約10.000人/年、死亡者数は約2.900人/年と報告されています。
なかでも、20〜30歳代で女性の出産年齢と子宮頚がんの罹患年齢が重なっています。
子宮頸がんの治療成績は向上していますが、手術による後遺症や身体的・精神的負担などで苦しむ患者さんも少なくありません。
前がん病変や ごく初期のがんの場合 子宮頸部円錐切除術 |
ステージが進んだ がんの場合 単純子宮全摘出術 |
さらに進行したがんの場合 広汎至急円摘出術: 骨盤内や鼠径部のリンパ節郭清を含む |
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●流産や早産、帝王切開の リスクが高まることがある |
●妊娠ができなくなる | ●妊娠できなくなる ●リンパ浮腫や排尿障害、 尿失禁などの後遺症があらわれることがある |
高リスク型のHPVの持続感染が子宮頸がん発症のリスクになります。
HPVはありふれたウイルスで、海外の報告では、異性との性経験のある女性の84.6%が一生に一度は感染すると推計されています。
HPVには200種類以上の「型」があり、皮膚に感染する「皮膚型」と性器や粘膜に感染する「粘膜型」(約40種類)に大別されます。
また、がんとの関連性から「低リスク型」と「高リスク型」に分類されます。
高リスク型のHPVに感染しても、必ずがんになるわけではありません。
HPVに感染しても、そのウイルスの多くは自然に身体から排除されます。
一部のウイルスが持続感染することで、数年から数十年という時間を経てがんへ進行することがあります。
HPV6/11/16/18型に加え、HPV31/33/45/52/58型のVLPを含みます。
ガーダシルの4つのHPV型に、さらに5つのHPV型が加わったことで、より幅広いHPV型に対する疾患の予防が期待できます。
日本における浸潤性子宮頸がんのHPV型分布は、HPV16/18型で65.4%、HPV31/33/45/52/58型を含めると88.2%となっています。
日本では、浸潤性子宮頸がん患者の90.8%がいずれのHPVに感染しており、そのうちHPV単感染者患者の65.4%でガーダシルおよびシルガード9に含まれる高リスク型のHPV16/18型が検出されました。
さらにシルガード9に含まれるHPV31/33/45/52/58型を含まれると、その割合は88.2%でした。
高リスク型のHPVのうち、シルガード9に含まれるHPV16/18/31/45/52/58型はHPV陽性症例において前がん病変で89.4%、浸潤性子宮頸がんで93.6%に関与していたことが報告されています
ガーダシルによる予防効果に加え、新たに追加された5つのHPV型に関連したシルガード9予防効果は、以下のとおりです。
シルガード9群のHPV型に6/11/16/18型の抗体価はガーダシル群に比較して、非劣性であることが検証されました。
接種後5日間の注射部位の副反応はシルガード9群で7,071例中6414例(90.7%)に、ガーダシル群で7,078例中6,012例(84.9%)に認められました。
接種後15日間の全身性の副反応はシルガード9群で7,071例中2,090例(29.9%)に、ガーダシル群で7,0.78例中1,928例(27.2%)に認められました(承認時)。
また、日本人においては、接種後5日間の注射部位の副反応はシルガード9群で127例中104例(81.9%)に、ガーダシル群で127例中101例(79.5%)に認められました。
接種後15日間の全身性の副反応はシルガード9群で127例中15例(118%)に、ガーダシル群で127例中8例(6.3%)に認められました(承認時)。
薬剤との関連性が否定されない死亡例はいずれの群においても認められませんでした。
接種後15日間の重篤な副反応は、シルガード9群で2例2件(発熱、アレルギー反応)に、ガーダシル群で1例1件(頭痛)に認められました。
中止に至った副反応は、シルガード9群で5例11件(無力症、浮動性めまい、疲労、多汗症、注射部位疼痛、悪心、疼痛、発熱、頭痛、注射部位腫脹、ワクチンアレルギー)に、ガーダシル群で3例3件(丘疹、舌腫脹、蕁麻疹)に認められました。
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