母子健康手帳、最後に開いたのはいつですか?

 

年長さんの公費ワクチンと自費ワクチン

「年長さんで受けるワクチンは、MRワクチンだけですか?」
「水痘(みずぼうそう)ワクチンが1回しか記録されていません。追加した方がよいですか?」
「おたふくかぜワクチンは、自費でも受けた方がよいのでしょうか?」

このようなお問い合わせをよくいただきます。

結論から整理すると、年長さんが全国一律に公費で受けられる定期接種は、原則としてMRワクチン第2期です。

一方、日本小児科学会は就学前に、おたふくかぜワクチンの2回目、三種混合ワクチン、不活化ポリオワクチンなどの任意接種も推奨しています。

ワクチン 全国一律の公費接種 子どもの推奨回数 標準的な時期
おたふくかぜ 現在は0回 合計2回 1歳以降早期・年長児
水痘(みずぼうそう) 合計2回 合計2回、
または確実な罹患歴
1歳以上3歳未満

特に確認していただきたいのが、おたふくかぜと水痘の接種回数です。

おたふくかぜと水痘は、どちらも「2回」が目標です

水痘は公費で2回受けられますが、おたふくかぜは現在のところ原則として自費です。

しかし、「公費ではない=受けなくてもよい」という意味ではありません。制度上の扱いと、医学的に推奨される接種回数は分けて考える必要があります。

おたふくかぜワクチン

子どものうちに合計2回が推奨されています

2026年9月現在、おたふくかぜワクチンは全国一律の定期接種にはなっておらず、原則として任意接種・自費です。

日本小児科学会は、次の合計2回を推奨しています。

  • 1回目:1歳になったら早めに
  • 2回目:5歳以上7歳未満で、小学校入学前の1年間

つまり、1歳頃に1回目を受け、年長さんの時期に2回目を受けるのが基本です。

おたふくかぜは「軽い病気」とは限りません

おたふくかぜでは、無菌性髄膜炎、脳炎、膵炎、精巣炎、卵巣炎、難聴などの合併症が起こることがあります。

特にムンプス難聴は、治療をしても聴力が回復しないことがあります。

日本耳鼻咽喉科学会の全国調査では、2015〜2016年の2年間に少なくとも348人がムンプス難聴になり、詳細が確認できた人の約8割に、高度以上の難聴が後遺症として残っていました。

多くは片耳の難聴ですが、両耳の難聴となり、補聴器や人工内耳が必要になった人も報告されています。

「おたふくかぜにかかった」と言われたことがある場合

耳の下が腫れる病気は、おたふくかぜだけではありません。反復性耳下腺炎など、ムンプスウイルス以外が原因となることもあります。

そのため、「以前、耳の下が腫れた」という記憶だけでは、確実に免疫があるとは判断できません。

医師による診断が明確でない場合や、罹患歴がはっきりしない場合は、接種を検討します。

すでにおたふくかぜにかかっていた人がワクチンを接種しても、通常、それによって副反応が特別に増えるわけではありません。

1回しか受けていない場合

年長児、小学生、中学生、成人であっても、確実な罹患歴がなければ、2回目を追加して合計2回にすることを検討します。

1回目から何年空いていても、最初からやり直す必要はありません。不足している1回を追加します。

まだ1回も受けていない場合

おたふくかぜにかかったことがなく、接種歴もなければ、年齢にかかわらず原則として2回接種を検討します。

キャッチアップ接種では、少なくとも4週間の間隔を空けます。

すでに2回受けている場合

通常は、それ以上の追加接種は必要ありません。

流行時に3回目の接種が短期的な流行抑制に有効だった研究はありますが、すべての子どもに生涯3回接種するという推奨にはなっていません。

今後、公費接種になる予定はありますか?

2026年7月22日の厚生労働省ワクチン評価に関する小委員会では、2027年度からの定期接種化に向けて、

  • 1回目は1歳以上2歳未満
  • 2回目は小学校入学前の1年間
  • 制度開始時に1回目の対象年齢を過ぎている子どもにはキャッチアップ接種を行う

という方向性が了承されました。

ただし、2026年9月現在は、まだ全国一律の公費接種は始まっていません。正式な開始時期や対象者については、今後の制度決定を確認する必要があります。

水痘(みずぼうそう)ワクチン

1歳以上3歳未満なら、公費で2回受けられます

水痘ワクチンは、1歳以上3歳未満が定期接種の対象です。

  • 1回目:標準的には生後12〜15か月
  • 2回目:標準的には1回目から6〜12か月後
  • 公費接種として必要な最低間隔:3か月以上

水痘ワクチンは、1回でも重症化を防ぐ効果が期待できますが、軽い水痘も含めて発症を防ぐには、2回接種が重要です。

1回しか受けていない場合

3歳未満であれば、接種間隔などの条件を満たせば、公費で2回目を受けられます。

すでに3歳を過ぎている場合は原則として自費になりますが、水痘にかかったことがなければ、年長児や小学生でも不足分を追加し、合計2回にすることが推奨されます。

何年空いていても、1回目からやり直す必要はありません。

接種間隔は、日本小児科学会のスケジュールでは次のように示されています。

  • 3歳以上13歳未満:3か月以上
  • 13歳以上:4週間以上

まだ1回も受けていない場合

水痘にかかったことがなく、接種歴もなければ、年長児や小学生でも自費で2回接種することを検討します。

水痘は子どもでは比較的軽く済むこともありますが、肺炎、脳炎、細菌による皮膚の二次感染などを起こすことがあります。また、感染したウイルスは体内に残り、将来、帯状疱疹の原因になります。

水痘にかかったことがある場合

医師から水痘と明確に診断されたなど、罹患歴が確実であれば、通常は水痘ワクチンを接種する必要はありません。

ただし、「小さい頃に発疹が出た気がする」「家族から水ぼうそうだったと聞いた」という記憶だけでは、水痘にかかったと確定できないことがあります。母子健康手帳や診療記録を確認してください。

1歳未満で水痘にかかった場合

1歳未満での自然感染では、十分な免疫が得られていない可能性があります。

一方、公費制度上は、医師から水痘と診断された罹患歴がある場合、年齢にかかわらず定期接種の対象外になるのが原則です。

そのため、1歳未満でかかった場合は、一律に「接種不要」または「公費で2回接種」と判断せず、診断が確実だったかも含めて小児科へご相談ください。必要に応じて、1歳以降の任意接種を検討します。

すでに2回受けている場合

通常、子どものうちに3回目を受ける必要はありません。

成人後に受ける帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹を予防するための別の接種です。「子どもの水痘ワクチンの3回目」という位置づけではありません。

年長さんで確認したいワクチン

ワクチン 年長さんでの確認 費用
MRワクチン第2期 対象期間内に必ず接種 公費
おたふくかぜ 2回目を推奨 原則自費
水痘 合計2回、または確実な罹患歴があるか確認 3歳以降は原則自費
三種混合(DPT) 就学前の追加接種を推奨 原則自費
不活化ポリオ(IPV) 就学前の5回目を推奨 原則自費
日本脳炎第1期 3回完了しているか確認 対象年齢内なら公費

年長さんで公費接種となるMRワクチン第2期の対象期間は、小学校入学前の1年間です。

通常は、小学校へ入学する直前の3月31日までとなります。

大人になるまでの基本的な到達目標

ワクチン 基本的な目標
MRワクチン 合計2回
おたふくかぜ 合計2回、または確実な罹患歴
水痘 合計2回、または確実な罹患歴
日本脳炎 第1期3回+第2期1回=合計4回
ジフテリア・破傷風 乳幼児期4回+11歳頃の追加1回
百日せき 乳幼児期4回+就学前のDPT追加接種を推奨
ポリオ 乳幼児期4回+就学前のIPV追加接種を推奨
HPV 接種開始年齢などにより2回または3回

小学生以上で公費になる主なワクチン

1.日本脳炎第2期

  • 定期接種の対象:9歳以上13歳未満
  • 標準的な接種時期:9歳頃に1回
  • 乳幼児期の第1期3回と合わせて合計4回

年長さんの時点では、第1期の3回が完了しているかを確認します。

2.二種混合(DT)第2期

  • 定期接種の対象:11歳以上13歳未満
  • 標準的な接種時期:11〜12歳に1回
  • 予防する病気:ジフテリア、破傷風

DTワクチンには、百日せきの成分が含まれていません。

日本小児科学会は、百日せき予防の観点から、DTの代わりに三種混合(DPT)を接種する方法も示しています。ただし、DPTへの変更は原則として任意接種・自費になります。

3.HPVワクチン

全国一律の定期接種対象は、小学6年生から高校1年生相当までの女子です。標準的な接種時期は中学1年生頃です。

2026年度から、定期接種に使用されるHPVワクチンは原則として9価ワクチンです。

  • 15歳未満で9価ワクチンの接種を開始:通常2回
  • 15歳以上で開始:通常3回

男子へのHPVワクチンも日本小児科学会は推奨していますが、現在は全国一律の定期接種ではなく、原則として任意接種です。

4.小学生になってから接種漏れに気づいた場合

「小学生になったら、もう公費のワクチンはない」というわけではありません。

年齢などの条件を満たせば、次の不足分を公費で受けられることがあります。

  • 日本脳炎第1期:7歳6か月未満まで
  • 五種混合・四種混合などの第1期:7歳6か月未満まで
  • 医学的な事情で定期接種を受けられなかった場合の特例
  • 日本脳炎の積極的勧奨差し控えに伴う特例対象者

また、MRワクチンの供給の偏りなどによって接種できなかった一部の対象者には、特例措置があります。

対象となるのは、2022年4月2日〜2023年4月1日生まれの第1期対象者、または2018年4月2日〜2019年4月1日生まれの第2期対象者のうち、ワクチンの偏在などで接種できなかったと市区町村が認めた方です。該当する場合は、2027年3月31日まで定期接種として受けられます。

母子健康手帳を確認してみましょう

年長さんは、これまでの予防接種を見直すよい機会です。

まず、次の項目を確認してみてください。

  • MRワクチン第2期を受けたか
  • おたふくかぜが2回記録されているか
  • 水痘が2回記録されているか、確実な罹患歴があるか
  • 日本脳炎第1期が3回完了しているか
  • 乳幼児期の定期接種に抜けがないか

おたふくかぜや水痘が1回で止まっていても、最初からやり直す必要はありません。足りない回数を追加することで、推奨回数に追いつくことができます。

判断に迷う場合は、母子健康手帳をお持ちのうえ、かかりつけの小児科へご相談ください。

※おたふくかぜワクチンの供給が限られる場合は、未接種の1歳児の初回接種を優先し、年長児の2回目については入荷状況によりお待ちいただくことがあります。

参考資料

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