新型コロナウイルスに対するIgM/IgG抗体検査

採血による新型コロナウイルス抗体(IgM/IgG)検査を当院で受けられます。

抗体検査はお子様の検査も可能です。

当日来院いただき検査することも可能ですが、 現在お申し込みが殺到しており、在庫がなくなってしまう場合がございます。予約して頂いる分は確保しておりますので、事前予約(042-710-2251)をお勧め致します。

抗体検査はこんな方に向いています

  • 元気に過ごしていたが、新型コロナウイルスに感染しても無症状のこともあると聞き、心配な方
  • 以前風邪症状があったので、それが新型コロナウイルスだったか知りたい方

※新型コロナウイルスに一度感染すると抗体ができるといわれています。抗体があることで、再び感染するリスクがなくなります。
(一般的な抗体に関する見解です。新型コロナウイルスに対して定まった見解は出ておりません)

※IgMは感染の初期段階(約7日間以内)で生成されます。
※IgGは感染後(感染して1週間後から上昇)に血液中に生成されます。

PCR検査、抗原検査ではごさいませんので、発熱や咳の症状のある方の来院はご遠慮ください。

選べる2種類の抗体検査

当院ではKURABO社、Artron社のSARS-CoV-2抗体検査試薬キット(IgM/IgG)を使用しております。

こちらは医療機関のみで使用を許可されており、個人向けに発売はされておりません。

また、7/13(月)より当院でもロシュ社の新型コロナウイルスに対しての抗体検査も開始しました。

当院の抗体検査は迅速キットとロシュ社の抗体検査の2種類から選択することが可能です。また両方で検査をすることもできます。

種類 イムノクロマト法
(KURABO社、Artron社)(IgM、IgG)
イムノアッセイ法
(ロシュ社)(IgM、IgG、IgA 混合同時測定)
特徴 感度95.7%、特異度96.7%と非常に精度の高い検査です。
指先の血液からも測定できますが、感度が落ちるため採血して検査しております。
当院で判定して結果は15分ほどで出ますので、当日検査の結果をご説明いたします。
感度98%、特異度99.8%と非常に精度の高い検査です。
血液を採取して検査しております。
検査会社へ郵送して判定するため結果が出るまでに、4〜7日かかります。
検査費用 4,000円(税込) 5,000円(税込)

抗体検査の位置づけ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症早期に一般的なウイルス性上気道感染症と区別することは難しい。

そのため、確定診断のためにRT-PCR法やLAMP法などの遺伝子検査によって SARS-CoV-2の存在を証明することが必要となる。

一方で、鼻咽頭ぬぐい液や虹などの検体採取では、採取する医療従事者の感染を予防する観点から、通常の検体採取とは異なる厳重な管理が必要となる。

このような状況から、COVID-19を遺伝子検査よりも簡易に診断できる検査が望まれている。その1つとして抗体検査がある。

抗体検査についての知見

抗体価上昇までの時間経過

国立感染症研究所での性能評価

国立感染症研究所がCOVID-19患者37症例の検体87検を用いて行った検討では、発症7〜8日後の血清ではIgM抗体およびIgG抗体の陽性率が10.0%および25.0%、発症 9〜12日後では4.8%および52.4%、発症13日以降では59.4%および96.9%であった。また、IgM抗体陽性の検体では全てIgG抗体陽性であった。

国内施設での性能評価

埼玉医科大学病院でのArtron社の抗体検査キットでは、RT-qPCR法との比較において、ウイルス核酸の消失とともにIgG抗体が陽性化する傾向があり、退院前のウイルス核酸の陰性化確認のsurrogate markerとして利用できる可能性があると報告されている。

一方Kurabo社のキットでは、そのような傾向は見られず、キット毎の性能や特性についてウイルス核酸のデータを基準とした評価が必要であると考えられる。

COVID-19の診療における抗体検査の位置付け

現時点で得られる情報を総合すると、IgM抗体およびIgG抗体はいずれも発症早期には陽性とならない可能性が高く、医療機関では発症早期の患者の診断に用いることは推奨されない。

また、IgM抗体については偽陽性も少なくないため、IgM抗体陽性のみでCOVID-19を確定診断することはできない。

一方で、発症してから時間が経過したものではIgG抗体の陽性率が非常に高いため、既感染の確認には有用であると考えられる。

抗体は感染してすぐには作られませんので、発症してからしばらくは血液中の抗体を測定しても検出されない時期があります。

発症からの日数と抗体陽性率の推移(参考ページはこちら(英文)

ウイルスのどの部分の抗体なのかによって微妙に異なりますが、新型コロナウイルスでは発症から概ね2週間くらいで8割の人が、概ね3週間くらいでほぼ全ての人がIgMまたはIgGが陽性になります。

しかし、この図を見てお分かりのとおり発症して間もなくは抗体を測定しても検出されない方が多いので、新型コロナの抗体検査が陰性であっても発症して2週未満であれば「新型コロナではないとは言えない」ということになります。

抗体検査を行うことによって、その地区や施設の疫学を把握することは可能である。

イムノクロマト法(KURABO社)

検査原理

新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)抗体検出キット(IgM/IgG)は、免疫クロマトグラフィー(イムノクロマト)間接法の原理に基づいています。

 

血清、血漿、または全血中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)IgM抗体、またはIgG抗体の定性的な検出に使用できます。

結果判定

陽性:検出ライン(T)とコントロールライン(C)の両方とも発色(ピンクから赤色バンド)した場合は、陽性と判定します。

陰性:検出ライン(T)に発色せず、コントロールライン(C)が発色した場合、陰性と判定します。

無効:コントロールライン(C)が発色しない場合は、検出ライン(T)が発色したか否かにかかわらず、検査は無効です。

なお、検出ライン(T)のバンドの濃さが異なる場合があります。既定の判定時間以内にバンドが現れた場合、バンドの濃さにかかわらず陽性と判定します。

KURABO社のイムノクロマト法による抗体検出試薬

発症日をDay1とする

Day1〜6
IgM抗体:陽性率0.0%
IgG抗体:陽性率7.1%

Day7〜8
IgM抗体:陽性率10.0%
IgG抗体:陽性率25.0%

Day9〜12
IgM抗体:陽性率4.8%
IgG抗体:陽性率52.4%

Day13
IgM抗体陽性率59.4%
IgG抗体:陽性率96.9%

発症6日後までのCOVID-19患者血清ではウイルス特異的抗体の検出は困難であり、発症1週間後の血清でも検出率は2割程度にとどまる。

抗体陽性率は経時的に上昇していき、発症13日以降になると、ほとんどの患者で血清中のIgG抗体は陽性となった。

IgM抗体の検出率が低く、IgG抗体のみ陽性となる症例が多い。

イムノアッセイ法(ロシェ社)

ヒト血清および血漿中のコロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体(lgGを含む)を定性的に検出するイムノアッセイ試薬

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体(IgGを含む)を定性的に検出するイムノアッセイ試薬

Elecsys®Anti-SARS-CoV-2 (RUO) は、ヒト血清および血漿中のSARS-CoV-2に対する抗体(IgGを含む)をin vitroで定性的に検出するイムノアッセイ試薬です。本試薬は、SARS-CoV-2に対する抗体の測定にヌクレオカプシドを標的としたSARS-CoV-2、特有のリコンビナント抗原(E.coli)を使用しており、測定には電気化学発光免疫測定法(ECLIA)を測定原理とする分析装置を使用します。

SARS-CoV-2:ウイルスの構造、感染、検出の概要

SARS-CoV-2は、コロナウイルス科コロナウイルス属に属する一本鎖RNAをウイルスゲノムとして有するエンベロープウイルスです。

コロナウイルスは構造的に類似しており、16種類の非構造タンパク質と4種類の構造タンパク質(スパイク、エンベロープ、メンブレン、ヌクレオカプシド)から構成されています。

コロナウイルスは、SARS-CoV-2に起因する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のように、軽度の感冒からより重度のものまで症状を伴う疾患を引き起こします。

SARS-CoV-2 は主に呼吸器の飛沫を介して人から人へと感染しますが、汚染された物の表面を介した間接的な感染の可能性があります。

ウイルスはアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を介して宿主細胞にアクセスし、肺に最も多く存在します。

COVID-19の潜伏期間は曝露後2〜14日で、大半の症例では曝露後約4〜5日で症状が現れます。

感染症の症状は、軽度のもの(発熱、咳、倦怠感、においの消失、息切れ)から重症のものまで様々です。

多くの症例は重症化には至りませんが、主に高齢者や基礎疾患を持つ成人で重症化しやすく、集中治療を必要とするケースもあります。

症状としては、呼吸不全、ショック、多臓器不全などがみられ、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)が重症な合併症としてあげられます。

COVID-19の確定診断には、核酸増幅検査 (NAT) によるSARS-CoV-2の直接検出が必要です。

血清学的検査は、ウイルスに曝された個人を特定し、集団の曝露の程度を評価するのに役立ち、それによって封じ込め対策の適用、実施、緩和を決定するのに役立つかもしれません。

上の図は、それぞれの検査がいつからいつまで陽性になるかを示したものです。

この図の中に抗原検査はありませんが、ウイルスの一部を検出するという意味ではPCR検査と同じ推移をすることになります。

発症してからしばらくはPCR検査が陽性になりやすく、2週以降はIgM/IgGが陽性になりやすくなります。

つまり、今感染しているかどうかを知るためにはPCR検査と抗原検査が向いており、過去に感染していたかどうかを知るためには抗体検査が適しているということになります。

それぞれの意義・長所・短所をまとめると下の図になります。

特異度

2019年12月以前(新型コロナウイルス発生以前)に集められた5,272検体(風邪・その他コロナウイルス検体を含む)を用いて特異度を算出したところ、特異度は99.81%となりました。

感度

症状を有し、PCRにてSARS-CoV-2陽性となった69人の患者から採取した204検体を測定したところ、PCRで陽性確認後14日以降の患者では、抗体の検出感度が100%でした。

セロコンバージョンにおける感度・PCR陰性後の力価上昇
患者5名について、PCR陽性確認日を0日とし、〜40日目まで経時的に本試薬で測定しCOIのモニタリングを実施

経時的にCOIが上昇(Patient 1〜5すべて)

PCR陰性日(21日目)から3日以内の早い段階で抗体を検出(Patient4)

新型コロナウイルス感染症を巡り、抗体検査の「誤用」が相次いでいます

感染歴を調べる抗体検査は「今感染しているかどうか」の診断に使えないのです。

どこかの劇場でのクラスター発生の時のように「陰性証明」のような誤った活用をしてはいけないのです。

感染症対策を検討する厚生労働省の「アドバイザリーボード」(座長=脇田隆字・国立感染症研究所長)は「適切とは言えない検査が実施されている」と警鐘を鳴らしています。

新型コロナウイルスに対する抗体は、体内に侵入したウイルスなどから体を守るために作られる物質です。

交代が検出可能になるには感染後2週間程度必要なため、検査時点の感染の有無は確認できません。

抗体の防御機能や持続期間も未解明で、検査で陽性になっても再感染しない保証はないのです。

しかしながら、抗体検査を「陰性証明」に使う例が相次いでいる。

集団感染が発生した東京都新宿区の劇場では、体調不良を訴えた出演者が抗体検査で「陰性だった」ことなどを理由に出演を継続し、その後新型コロナウイルスのPCR検査での陽性が判明しています。

文化庁は15日、今年度第2次補正予算の文化芸術活動の継続支援事業のうち、抗体検査の費用補助の取りやめを決めた。

同庁は「現在の感染の有無を診断できる検査であるとの誤認を与えるおそれがあったため」と説明する。

抗体検査は検査時点での感染の有無を調べるものではありません。

検査をしたので何をしても大丈夫と安易な行動を取ると、自分を守る観点でも、他者に感染させない観点でも誤った行動につながります。

旅行者の陰性証明

このことは、もう、海外渡航が実質停止する前に提起された課題です。

無症状者に新型コロナウイルスのPRCを行なって、一日、二日後に飛行機に載せて11時間後に別の大陸に移動して、どれだけの到着後の安全の保証にはなりません。

企業が無症状の社員全員にPCRを受けさせて、陰性だったとしてもその一週間後の社屋内の安全の保証にはなりません。

新型コロナウイルスの抗体検査を含めて全ては、限界のある、「限定的な」検査指標であることを考えて検査結果を利用してください。

新型コロナウイルス関連のお知らせ

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