GLP-1RAによる早期糖尿病治療

糖尿病患者の平均HbA1cは低下傾向にあるが、
約半数はHbA1c7.0%に達していない

糖尿病患者の平均HbA1cの推移

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#:2型糖尿病
:「インスリン単独」もしくは「インスリン+αグルコシダーゼ阻害薬」で治療を行っている1型糖尿病
糖尿病データマネジメント研究会(JDMM)ホームぺージ

糖尿病患者さんの平均HbA1cの値は、2002年から2015年までの13年間で約0.4%改善されていますが、糖尿病の合併症を予防するための目標値である7.0%にはいまだ達していません。血糖正常化をめざすHbA1cの目標は6.0%と日本糖尿病学会からも示されております。

糖尿病患者の平均BMIは増加傾向にある

糖尿病患者の平均BMIの推移

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#:2型糖尿病
:「インスリン単独」もしくは「インスリン+αグルコシダーゼ阻害薬」で治療を行っている1型糖尿病
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また、糖尿病患者さんの平均のBMIは2003年から2015年まで増加しており、2015年にはBMIが25に迫るところまできています。糖尿病患者さんは昔と比べると肥満傾向にあります。肥満改善するためにはBMI22以下を目指す必要があります。

30歳以上の男性の約3割、40歳以上の女性の約2割は肥満

こちらは、日本人における年齢別の肥満患者の割合を示しており、30歳以上の男性の約3割、40歳以上の女性の2割が肥満である ことがわかっております。

GLP-1受容体作動薬はこんなお薬です

GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病のためのお薬です。ヒトの体では、食事をして糖質(炭水化物など)を摂取すると小腸からGLP-1(ジーエルピーワン)という消化管ホルモンが出ます。GLP-1は、すい臓にあるβ(ベータ)細胞に働きかけてインスリンを出させ、食事によって高くなる血糖値をコントロールする役割を持っています。
このGLP-1の構造を少し変えて1日1回投与や週1回投与のGLP-1アナログ製剤のお薬があります。
GLP-1アナログ製剤は、食事をして糖質(炭水化物など)を摂取したときにβ細胞からインスリンを出させて血糖値を下げますが、血糖値が低くなってくると作用しにくくなります。 インスリンを出させ過ぎたり、血糖値を下げ過ぎたりすることはなく、ほかの糖尿病薬と併用しないときには低血糖を起こしにくいお薬です。

GLP-1の多彩な作用

GLP-1はその多様な作用によって、2型糖尿病の治療薬として今までにない可能性を有するのではないかと注目されています。
GLP-1には多彩な作用があり、膵臓への直接的な作用だけでなく、胃、脳、心血管、腎臓、免疫系、骨格筋、褐色脂肪組織、白色脂肪組織、肝臓、腸などの様々な臓器へも作用することが認められています。

GLP-1の多彩な作用

GLP-1受容体作動薬は血糖依存的にインスリン分泌を促し、グルカゴン分泌を抑制するため、低血糖のリスクが極めて低いところが糖尿病治療の大きなメリットとなっています。
膵β細胞の分化を誘導、アポトーシスを抑制し、膵β細胞重量を増加させるという動物実験のデータがあり、膵β細胞保護効果があれば長期の治療をすることの大きなメリットとなります。
2型糖尿病の治療において体重増加は大きな問題となる体重増加がインスリン抵抗性を増大させ、高血糖のみならず高血圧、脂質異常症も併発し大血管障害のリスクとなります。GLP-1受容体作動薬は食中枢に作用し、消化管の機能を抑制することにより食欲を抑え体重増加をきたしにくいともいわれています。

GLP-1のインスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制作用

GLP-1のインスリン分泌促進作用とグルカゴン分泌抑制作用がグルコース応答性を示すことが確かめられています。
2型糖尿病患者10例を対象に空腹時にGLP-1またはプラセボを4時間持続的に静脈内投与しました。その結果、GLP-1の持続投与にもかかわらず、血糖値が正常域に達すると、それ以降はインスリン分泌は減少し、反対にグルカゴンの抑制は不活化され、血糖値の恒常性が保たれることがわかりました。

GLP-1は低血糖を誘発するリスクは低い

GLP-1は血糖値依存的にインスリン分泌を促進するため、低血糖の危険性が少ないことが認められています。
2型糖尿病患者39例を対象に経口血糖降下薬休薬3日後、空腹時にGLP-1を4時間持続的に静脈内投与して、血糖降下作用が検討されました。その結果、全例で血糖降下作用が認められ、かつ一定レベル以下に血糖値を下げないことが認められました。また、投与前の血糖状態の良・不良にかかわらず、幅広い高血糖状態において血糖降下作用を示しました。

日本におけるGLP-1受容体作動薬(1日1回製剤)

日本におけるGLP-1受容体作動薬(週1回製剤)

DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の臨床効果の比較

日本人2型糖尿病患者対象のDPP-4阻害薬・GLP-1受容体作動薬のネットワークメタ解析:HbA1c変化量

薬理学的濃度で血中GLP-1濃度を高めるGLP-1受容体作動薬は、各種DPP-4阻害薬よりも強い血糖降下作用を有します。
上記のグラフは、ビクトーザ(リラグルチド:Liraglutide)とDPP-4阻害薬を、日本人2型糖尿患者を対象とした無作為化試験をもとにメタ解析により比較したものになります。38試験のうち、27試験(5,032例)で投与後12週の、また、9試験(2,091例)で投与後24週のHbA1cの変化が報告されており、両剤ともにプラセボと比較してHbA1cの有意な減少が確認された。また、ビクトーザ0.9mg(リラグルチド:Liraglutide)は比較されたすべてのDPP-4阻害薬(ビルダグリプチン:Vildagliptin、シタグリプチン:Sitagliptin、リナグリプチン:Linagliptin、アログリプチン:Alogliptin、テネリグリプチン:Teneligliptin、トレラグリプチン:Trelagliptin、オマリグリプチン:Omarigliptin)に対し優越性を示していた。
これらのことから、日本人2型糖尿病患者においてビクトーザ(リラグルチド:Liraglutide)0.9mgは、DPP-4阻害薬と比較してより有用であることが示唆された。

GLP-1受容体作動薬にインスリンを併用させるかは残存の膵β細胞機能(CPI)によって決まる

リラグルチド開始1年後にはHbA1c7%未満を達成するために必要な残存膵β細胞機能の比較
GLP-1受容体作動薬と基礎インスリンの併用が年齢や体重、罹病期間によらず、HbA1cを改善しうることが報告されています。しかし、併用療法開始1年後にHbA1c7.0%未満を達成しえた患者の特徴として、一定以上の内因性インスリン分泌能が残存する必要であることも報告されています。上記の表は内因性インスリン分泌能の指標として、空腹時のCペプチド・インデックス(CPI,100×空腹時Cペプチド/空腹時血漿血糖値)を用いており、HbA1c7.0%未満達成のカットオフ値として単独療法・SU薬併用療法では1.86、基礎インスリン併用療法では1.10が報告されています。
このことから単独療法はもちろん、経口薬や基礎インスリンとの併用療法においても、膵β細胞機能が十分に温存されている早期に導入するほど、GLP-1受容体作動薬の血糖降下作用が大きいことが示されています。

GLP-1受容体作動薬による体重減少の作用機序

GLP-1の生理作用は血糖改善作用以外に中枢における食欲抑制作用も知られている。
消化管で産生されるGLP-1の多くは、迷走神経から延髄孤束核を介して視床下部などへ情報伝達される。延髄孤束核で産生されるGLP-1や末梢投与されたGLP-1受容体作動薬の一部は、直接的に脳内の様々な部位に情報伝達して摂食抑制に作用する。

GLP-1受容体作動薬は過食などの摂食行動を変化させる

GLP-1受容体作動薬が適する患者さん

■食行動質問票 質問例

体重や体質に関する認識:
「他人よりも太りやすい体質だと思う」等
食動機:
「スーパーなどでおいしそうなものがあると、予定外でもつい買ってしまう」等
代理摂食:
「イライラしたり心配事があるとつい食べてしまう」等
空腹・満腹感:
「空腹になるとイライラする」等
食べ方:
「早食いである」等
食事内容:
「肉食が多い」等
食生活の規則性:
「夕食をとるのが遅い」等

対象:BMI 25kg/m²を超える2型糖尿病患者57例
方法:糖尿病治療のため患者を入院させ、ビクトーザ®群は経口糖尿病薬又はインスリンで血糖管理を行い、空腹時血糖値150mg/dL未満及び食後2時間血糖値200mg/dL未満達成後、ビクトーザ®治療へと切り替えた。なお、ビクトーザ®は0.3mg/日より開始し、1週間ごとに0.3mg/日ずつ増量し、0.9mg/日とした。インスリン群はインスリン治療により血糖管理を行いながらインスリン投与を継続した。入退院時及び退院後の摂食行動を検討した。
安全性:(安全性に関する記載なし)

GLP-1受容体作動薬のビクトーザは投与後3ヵ月で健康な非肥満者と同じくらい過食行動が抑えられています。また、6ヵ月で内臓脂肪や皮下脂肪が有意に減少する作用もあります。

GLP-1受容体作動薬の体重減少効果のメタ解析

GLP-1受容体作動薬は体重減少を伴う抗糖尿病薬として肥満2型糖尿病患者に有用であることが示されています。
上記表はGLP-1受容体作動薬の体重減少効果をみたメタ解析になります。2型糖尿病患者に12週間以上GLP-1受容体作動薬が投与されており、体重変化量の解析には37の研究が用いられた。治療開始前からの平均体重変化量は−1.59kgでありました。

GLP-1受容体作動薬の新たな知見

GLP-1受容体作動薬の心血管イベントに関する大規模臨床研究の結果が報告されています。

GLP-1受容体作動薬の心血管イベント抑制に対するエビデンス

GLP-1受容体作動薬は、心血管イベントの抑制効果が示されています。
GLP-1受容体作動薬の心血管イベントに関する大規模臨床研究の結果では、ビクトーザ(リラグルチド)のLEADER試験、オゼンピック(セマグルチド)のSUSTAIN-6試験でプラセボと比較して有意な心血管イベントの抑制(優越性)が認められました。

米国糖尿病学会(ADA)
2型糖尿病患者の薬物療法のアルゴリズム 2018

米国糖尿病学会(ADA)2型糖尿病患者の薬物療法のアルゴリズム 2018

今回の薬物療法アルゴリズムの改訂では、患者さんの心血管疾患の有無で分けるようになりました。
その上で心血管疾患の既往のある患者さんに対しては心血管疾患の科学的根拠のある治療薬(ビクトーザ・ジャディアンス・カナグル)を推奨するというスタンスになりました。


米国糖尿病学会(ADA)2型糖尿病患者の薬物療法のアルゴリズム 2018

2型糖尿病における治療課題 1)

2型糖尿病における治療課題

2型糖尿病治療ではいくつかの課題がありますが、主なものは以下の4つです。

  • 血糖コントロール
  • 低血糖リスク
  • 体重増加
  • 膵臓β細胞の機能低下

2型糖尿病治療には様々な課題がある

2型糖尿病における治療課題

2型糖尿病治療では、いくつかの課題がありますが、主なものは以下の4つです。

  • 長期に血糖コントロールを維持するのが難しい
  • 低血糖のリスクを増加させる可能性がある
  • 食欲が亢進して体重増加しやすい
  • 徐々に膵臓のβ細胞の機能が低下する

などの課題があります。

それぞれの課題に対し、GLP-1受容体作動薬に期待される効果

2型糖尿病における治療課題に対し、GLP-1受容体作動薬に期待される効果

たった1剤で上記の4つの課題すべてを解決するのに役立つとされているのが、GLP-1受容体作動薬です。DPP4阻害薬が間接的にGLP-1を増やす薬剤ですが、直接的にGLP-1を増やすのがGLP-1受容体作動薬です。

それぞれの課題に対し、GLP-1受容体作動薬に期待される効果

2型糖尿病における治療課題

GLP-1受容体作動薬は、糖尿病治療における4つの課題、すなわち、

  • 血糖コントロールの維持
  • 低血糖リスクの低減
  • 体重増加の抑制
  • 膵臓β細胞機能の改善

などが期待できます。

2型糖尿病は進行する病態

2型糖尿病は進行する病態であることを示すグラフ

2型糖尿病は加齢に伴って病状が進行・悪化する疾患です。
すなわち糖尿病が発症する前段階では、まず、インスリン抵抗性が増大します。それに伴い、β細胞がインスリンを追加分泌しインスリンレベルが増加します。その結果、膵臓がどんどん疲弊してしまいます。
したがって、一旦糖尿病が進行した状態になると、β細胞の機能、すなわちインスリンの分泌能が不可逆的に低下してしまいます。
そのため糖尿病はインスリン分泌が保たれている早期からの糖尿病治療が非常に重要となります。

2型糖尿病に対する厳格な血糖コントロールを早期に実施することにより、合併症発症リスクを長期的に軽減する

■従来療法群に対するSU又はインスリンを投与した強化療法群の10年間の相対リスク(海外データ)

2型糖尿病は進行する病態であることを示すグラフ

対象:UKPDSに組み入れられた新規2型糖尿病患者4,209例
方法:試験終了後、試験薬の投与を中止し、SUまたはインスリンを投与した強化療法群2,729例、metを投与した強化療法群342例、従来療法群1,138例で10年間のアウトカムを比較した。
Holman RR et al.:N Engl J Med 359(15):1577-1589, 2008 より作図

2型糖尿病に対して厳格なコントロールを早期から行うと、10年後には従来のコントロールと比べて死亡率を13%、心筋梗塞発症率を15%、脳卒中発症率を9%、細小血管障害を24%抑えることができます。2型糖尿病を早期から厳格に治療することは、様々な合併症までも抑制することができます。

膵β細胞への影響の観点からみると
インクレチン製剤などは早期投与が重要

膵β細胞への影響の観点からみるとインクレチン製剤などは早期投与が重要であることを示すグラフ

インスリンを分泌する膵臓のβ細胞は、糖尿病の発症時には50%まで機能が低下しております。治療を行わなければ、ますます機能が失われ、最終的にはインスリンを分泌することができなくなってしまいます。
GLP-1受容体作動薬などの薬を糖尿病発症の早期から使用すると、膵β細胞の機能の悪化が抑えられ、糖尿病発症30年後にも膵臓のインスリン分泌機能がグラフの青線のように維持されます。
糖尿病と診断されてからは、GLP-1受容体作動薬などを早期に投与して治療することが非常に重要です。

早期に治療強化を行った患者さんでは治療強化が遅かった患者さんより、5年間の血糖コントロールが良好であることが報告されている

早期治療強化の有無が長期の血統コントロールに及ぼす影響(海外データ)

対象:2型と診断された後、メトホルミン単剤を3ヶ月投与され、HbA1cが7%を超えていた患者1,168例
方法:HbA1cが7%を超えてから6ヶ月以内に治療強化(メトホルミンの増量、ほかの血統降下薬の追加、体重低下作用のある薬剤の追加、栄養士などへの紹介)を行った患者(早期治療強化群)に分け、Hb1Ac7%未満を達成するまでの期間を検討した。
Pantalone KM, et al. Diabetes Care 2016; 39: 1527

2型糖尿病と診断された後、メトグルコを3か月服薬したがHbA1c7%を超えている患者さんに、GLP-1受容体作動薬のような体重低下作用のある薬を追加した患者さんでは、5年後にHbA1cが7%未満にコントロールできた患者さんが多いことが分かります。
このことから、糖尿病と診断されてからはできる限り早期に治療を開始することが非常に重要であることが分かります。

GLP-1受容体作動薬が適する患者さん

GLP-1受容体作動薬が適する患者さん

特定の患者像に対する本製品の効果を示すものではありません。

以下のような患者さんはGLP-1受容体作動薬が適するといわれています。

  • 糖尿病の薬を1剤〜2剤服用中でHbA1cが8%を超えている患者さん
  • 治療したいのに忙しくてなかなか治療に十分取り組めていない患者さん
  • 50代〜60代の患者さん

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