日本糖尿病学会 編:糖尿病治療ガイド2012-2013 文光堂:54-55, 2012
インスリン療法には絶対的適応と相対的適応があります。生存のために必要な場合が絶対的適応であり、2型糖尿病であっても著名な高血糖がみられる場合、経口血糖降下薬で良好な血糖コントロールが得られない場合などが相対的適応に該当します。
インスリン療法と聞くと、以下のような印象を抱くかもしれません。
これらは、すべて誤解です。
長期にインスリン療法を継続していても、麻薬やアルコールなどで起こるような“依存症”は起こりません。体内で常時分泌されているインスリンは、必要な量がなければ生命を維持できなくなりますし、多すぎれば、からだはただちに低血糖症状という警告を発します。からだが必要以上のインスリンを求めることはないので、“依存症”にはなり得ないのです。
経口薬を使用していったん薬の効果があったものの徐々に効果がなくなってきた2型糖尿病患者に対してインスリンを療法を実施し、1年間で半数を超える患者でインスリン療法が不要になりました。
インスリン療法は、外部からインスリンを注射することによって自分の膵臓を休ませてあげる治療法です。
そのため、膵臓は怠けてしまうのではなく、膵臓がインスリンを作る力(分泌する能力)はむしろ回復してきます。
自分の膵臓を井戸、インスリンを井戸水に例えると、インスリン療法は外から「もらい水」をする治療法だと言えます。
しばらく「もらい水」をしていれば、自分の井戸は枯れることなく、井戸水はまた増えてきます。
1988年にインスリン製剤をカートリッジ式にしたペン型注入器が登場し、現在では、プレフィルド型が注入器の主流となり、握りやすさ、押しやすさ、目盛の合わせやすさなど、より使い勝手のよい注入器への改良が続けられています。
一方、注射針の進歩もめざましいものがあります。衛生面だけでなく、長さや太さ、痛みを軽くする構造や工夫など様々な改良が重ねられました。現在はほとんど痛みを感じない、使い捨ての針が広く使われています。
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