予防接種のご案内

日本の定期予防接種は3ヶ月齢から三種混合DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)、結核(BCG)、ポリオ(急性灰白髄炎)のワクチンから始まります。

新生児は2ヶ月齢までは母親から移行した抗体に守られていますが、それ以降は抗体が下がってしまいます。

細菌性髄膜炎といった極めて予後の悪い感染症から赤ちゃんを守るためには6ヶ月齢までに肺炎球菌とインフルエンザ菌b型(Hib)の初回免疫(3回分)を済ませておく必要があります。

2ヶ月齢から始められるHibワクチンとプレベナー(沈降7価肺炎球菌結合型ワクチン)をなるべく早く始めてください。

赤ちゃんが痛がるからといって、大きくなって、プレベナーの接種回数が少なくなってから接種しようと考えておられるお母様もいらっしゃるのですが、小さな赤ちゃんほど疾患にかかりやすく重症化することを考えると、なるべく早期の接種をしてあげてください。

日本小児科学会の推奨する予防接種スケジュール

日本小児科学会は、日本小児科学会の推奨する予防接種スケジュールを2011年から発行しておりますが、保護者の皆様から、内容が複雑で理解しにくいとのご意見をいただいておりました。

皆様のご意見を受けて、この度、保護者に分かりやすい簡易版予防接種スケジュールを作成致しました。

また、予防接種への理解をより深めていただくためにも、「知っておきたいわくちん情報」と併せてご覧ください。

各種予防接種

町田市定期予防接種  実施対象年齢一覧表

種類   対象年齢 標準的な接種年齢
ヒブ 個別接種 2か月〜5歳未満 2か月〜7か月未満
小児用肺炎球菌 個別接種 2か月〜5歳未満 2か月〜7か月未満
BCG 集団接種
(一般会場)
1歳未満 5か月〜8か月未満
四種混合
(ジフテリア、百日せき、
破傷風、不活化ポリオ)
個別接種 3か月〜7歳6か月未満
※15歳以上は予防接種ができません
3か月〜1歳未満
五種混合
(ジフテリア、百日せき、
破傷風、不活化ポリオ、ヒブ)
個別接種 3か月〜7歳6か月未満
※15歳以上は予防接種ができません
※2024年2月生まれの赤ちゃんから原則、五種混合ワクチン接種となります
3か月〜1歳未満
不活化ポリオ 個別接種 3か月〜7歳6か月未満 3か月〜1歳未満
二種混合 第2期
(ジフテリア、破傷風)
個別接種 11歳〜13歳未満 11歳〜12歳未満
麻しん風しん混合(MR) 第1期 個別接種 1歳〜2歳未満 同左
第2期 個別接種 5歳〜7歳未満で小学校就学前の1年の間にある者(年長児) 同左
日本脳炎 第1期 個別接種 6か月〜7歳6か月未満
(3歳からがベスト)
※2回目 1ヶ月後
※追加  2回目終了1年後
3歳〜5歳未満
第2期 個別接種 9歳〜13歳未満 9歳〜10歳未満
子宮頸がん 個別接種 小学校6年生〜高校1年生相当 中学生1年生相当

※日本脳炎の特例について:平成17年の積極的な勧奨差し控えにより日本脳炎の予防接種の機会を逃した平成7年4月2日〜平成19年4月1日生まれの方は、20歳未満まで定期接種として無料で受けることが可能です。

自費での予防接種

(※)すべて税込価格です。

インフルエンザ
(20歳代の方を除けば2回接種が基本となります)
こちらをご覧ください
MRワクチン(新二種混合:麻疹、風疹) 9,350円
※町田市のお子様は1期と2期のみ 無料
※町田市風疹抗体か妊婦健診済 無料
RSウィルス(アレックスビー) 27,500円
水疱瘡(みずぼうそう) 6,700円
※公費は無料
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) 5,500円
ツベルクリン反応 2,200円
A型肝炎 7,700円
B型肝炎 6,600円
※公費は無料
高齢者肺炎球菌ワクチン 9,200円
※3,000円(町田市助成対象者)
成人用肺炎球菌ワクチン(プレベナー/バクニュバンス) 11,000円(プレベナー)/16,000円(バクニュバンス)
四種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ) 9,350円
※公費は無料
三種混合 (ジフテリア、百日咳、破傷風) 5,500円
成人用三種混合 (ジフテリア、百日咳、破傷風) 5,500円
二種混合(ジフテリア、破傷風) 4,400円
※公費は無料
乳児用5種混合(ジフテリア、百日せき、破傷風、不活化ポリオ、ヒブ) 20,000円
※公費は無料
ガーダシル(子宮頚がんワクチン)
(公費外)
17,200円
サーバリックス(子宮頚がんワクチン)
(公費外)
16,200円
シルガード9
(公費外)
33,000円
BCG 11,000円
※公費は無料
破傷風 2,700円
日本脳炎 4,700円
※公費は無料
ヒブワクチン 8,200円
※公費は無料
不活化ポリオワクチン 9,600円
ロタリックスワクチン2回接種法
(1回目・2回目)
16,000円
ロタテックワクチン3回接種法
(1回目・2回目・3回目)
11,200円

帯状疱疹予防のワクチン(2種類)

●帯状疱疹はどのように起こるか?何が問題か?どう予防するか?

水痘と帯状疱疹は同じウイルスによる病気です。水痘が治ってもウイルスは体内に残ります(中年以降の方の90%以上がこの状態)。

それが何かの拍子に活動を再開すると帯状疱疹を発症します。

潜んでいるウイルスを抑え込むのは免疫の力です。

それが弱まると帯状疱疹が起こりやすくなるのです(高齢者に多い理由)。

したがって、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫力を高めれば、帯状疱疹の発症と重症化を予防できるはずです。

帯状疱疹のあとに頑固な神経痛が残ることがあります(帯状疱疹後神経痛)。

これが一番つらい症状です。

●帯状疱疹予防ワクチンの種類

1)水痘ワクチンを流用する: 弱毒化ウイルスの 生ワクチン(国産)1回接種
2)シングリックス:遺伝子組み換え法の 不活化ワクチン(グラクソ・スミスクライン社製)2回接種

●2つの共通点

注射で投与し、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する特異的な免疫力を高めます。

いずれも、50歳以上の方に使用できます。

●違い、その1 - ワクチンの効果

「水痘ワクチン」はやや弱めです。60歳以上に使うと、帯状疱疹の発症がおおむね半減し、帯状疱疹後神経痛は約1/3にまで減ります。「シングリックス」は非常に強力です。

帯状疱疹の発症頻度は、50歳以上の試験で3〜5%にまでに激減し、70歳以上でも10%程度まで大幅に下がりました。帯状疱疹後神経痛もそれに見合って減少します。

●違い、その2 - 副反応

いずれも重篤な副反応はまれです。ただ、注射部位が痛んだり腫れたりします。

これは「水痘ワクチン」ではごく軽くすみますが、「シングリックス」はかなり強いのです。

また、筋肉痛や疲労感、頭痛のような全身症状も「シングリックス」に多いようです。

免疫反応を強めるために配合されたアジュバンド成分がその原因と考えられています。

なお、生きたウイルスを含む「水痘ワクチン」は免疫機能低下の人には使えません。

●違い、その3 - 価格と注射回数

当院価格で 「水痘ワクチン」 6,700円 ×1回 = 6,700円
「シングリックス」 22,000円 ×2回 = 44,000円

●どちらがよいの?

効果の差は明らかです。ただし、費用対効果比(コスパ)も考えましょう。

帯状疱疹を発症する可能性は、60歳以上だと1年間で100人に1人程度です(現状では)。

かかった場合に、本当につらいのは帯状疱疹後神経痛ですが、その頻度はさらに1/10に減ります。

ワクチンの効果がどれくらい長続きするか、まだ十分なデータがないので、追加接種の必要性が判断しづらいところですが、コスパは微妙なところだと思います。

ワクチンの種類
(弱毒化ワクチン・不活化ワクチン・トキソイド)

弱毒生ワクチン 不活化ワクチン トキソイド
概要 様々な方法で病原体の病原性を弱めたもの。 病原体を殺菌もしくは不活化して感染性をなくしたもの。 病原体(殺菌)の外毒素を無毒化したもの。毒素に対する抗体が産出される。
主なワクチン 麻疹、風疹、BCG、水痘、流行性耳下腺炎 など ポリオ、インフルエンザ、A型肝炎、狂犬病、日本脳炎、百日咳、B型肝炎 など ジフテリア、破傷風 など
利点 長期にわたる免疫を獲得できる
液体免疫と細胞性免疫の両方を獲得できる。
弱毒性ワクチンに比べ、安全性が高い。
欠点 病原性は弱いが、不活化ワクチンよりも感染症の発生などの副反応を起こす可能性が高い。 免疫能の持続が短期間であるため追加接種が必要になる。
細胞性免疫は獲得されない。

「プレベナー20®水性懸濁注」適応追加承認取得のお知らせ

この度、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン「プレベナー20®水性懸濁注」(プレベナー20®)が、これまでの「小児における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による侵襲性感染症の予防」に加え、「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者 肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による感染症の予防」を効能又は効果として、国内における製造販売承認を取得いたしました。

効能又は効果

  • 高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者 肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による感染症の予防
  • 小児(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による侵襲性感染症の予防

プレベナー20®は、沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(プレベナー20®)に含まれる20の血清型に加え、8、10A、11A、12F、15B、22F及び33Fが含まれる沈降20価肺炎球菌結合型ワクチンです。

高齢者が定期接種で接種可能な呼吸器ワクチン

インフルエンザウイルス感染後の維持性細菌性肺炎

季節性インフルエンザは流行性があり、一旦流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が広がります。日本では例年12月から3月が流行シーズンです。

インフルエンザウイルスに感染すると、二次性細菌性肺炎を引き起こしてしまうことがあります。

インフルエンザウイルスに感染すると、気管気管支の物理的バリア機能が破壊されたり、宿主の免疫細胞が機能不全を起こすなど、ウイルス感染に伴い、気道宿主に変化を生じます。

その結果、肺炎球菌や黄色ブドウ球菌による2次感染を起こすと言われており、肺炎球菌などにより、細菌性肺炎、敗血症ショックなどの命に関わる疾患を引き起こします。

これからのシーズン、インフルエンザも感染が増えてきます。インフルエンザウイルス感染後の2次感染にも注意が必要です。

続いて、高齢者が定期接種で接種可能な呼吸器ワクチンをご紹介します。

高齢者が定期接種で接種可能な呼吸器ワクチンには新型コロナワクチン、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチンがあります。

新型コロナワクチンは、2023年度までは臨時接種として行われてきましたが、2024年の秋の接種開始分から65歳以上の方を対象とした定期接種に変更となりました。

また、肺炎球菌ワクチンの対象者は、2024年3月まで行われていた経過措置が終了となり、主に65歳の方が対象となっています。

実施率

次に実施率について説明します。

新型コロナワクチンの実施率が53.7%インフルエンザワクチンの実施率が55.7%であるのに対し、肺炎球菌ワクチンの実施率は37.4%です。

肺炎球菌ワクチンは定期接種が開始して10年が経過しますが、他の二つのワクチンに比べ低い実施率です。

接種間隔

続いて、高齢者が定期接種で接種可能な呼吸器ワクチンの接種間隔について説明します。 

定期接種の接種時期ですが、肺炎球菌ワクチンはシーズンに関わらず接種が可能です。一方、新型コロナワクチンインフルエンザワクチンは、秋冬シーズンに接種が行われます。

次に、接種間隔についてですが、肺炎球菌ワクチンは不活化ワクチンのため、新型コロナワクチンやインフルエンザワクチンとの接種間隔に制限はありません。

さらに、医師が特に必要と認めた場合は、新型コロナワクチンインフルエンザワクチンとの同時接種が可能です。

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