フルミスト

フルミストは、アメリカのアストラゼネカ傘下のMedImmune LLCが開発した経鼻インフルエンザワクチンです。

日本国内では、第一三共が2023年に製造販売承認を取得し、2024年の秋冬シーズンから販売されています。

フルミストはどんなワクチン?

  • フルミストは、鼻の中へ吹き付けるインフルエンザ感染予防のための生ワクチンです。従来の不活化ワクチンの皮下注射と違い、鼻腔内にスプレーを吹きかけるだけなので痛みがありません。
  • インフルエンザウイルスは主に気道粘膜に感染するため、鼻腔に直接免疫をつけるフルミストは現行の注射ワクチンで誘導されるIgG抗体だけでなく、気道分泌型IgA抗体も誘導するため、予防効果が(特に小児において)高いと考えられます。また生きたウイルスで免疫を作るため、流行しているインフルエンザと株が違っても発症を軽症化させる作用があります。
  • 効果は1シーズンですが不活化ワクチンよりも効果が長く持続します。

フルミストは、鼻にスプレーするタイプのインフルエンザワクチンです。生きたインフルエンザウイルスを使った生ワクチンですが、接種してもインフルエンザのような強い症状を引き起こさないようにデザインされています。

インフルエンザウイルスの一般的な侵入口である鼻の粘膜に免疫を誘導するので、高い感染防御効果が期待できます。同時に血液内にも免疫を成立させるので、感染してしまった場合でも重症化を抑制します。

アメリカでは早くから実用化され、注射の不活化インフルエンザワクチンと同様に、インフルエンザウイルスに対する予防接種として広く使用されています。

感染防御効果

注射によるインフルエンザワクチンは、血液中にインフルエンザウイルスに対する免疫を誘導するために、感染自体を防御する効果は十分でないことがあります(ワクチンの効果には、感染時の重症化抑制もあり、これについては従来のワクチンで十分期待できます)。

粘膜の表面に直接免疫を成立させるため、理論的に、フルミストは高い感染防御効果を期待できます。そして、その効果の持続も注射によるワクチンより長いとされています。

流行するインフルエンザウイルスの種類によって、フルミストの注射によるワクチンに対する優位性が変化することがあるため、いかなる場合でもフルミストが優れているとは言えないのですが、フルミストが優位性を出せていないケースでも、その効果は注射によるワクチンと同等です。

2014/2015シーズンは、注射によるワクチンの効果が例年以上に高かったためにフルミストの優位性が目立たなかったと言われています。

接種対象、回数

接種できるのは、2歳以上18歳以下の方です。

接種回数はほとんどの場合で1回です。

ただし2歳から8歳までの小児で、「これまでにインフルエンザに感染したことがない」、あるいは、「これまでにインフルエンザワクチンを接種したことがない」場合は2回接種が勧められます。

インフルエンザフルミストの効果は何ですか?

  • 効果の持続期間:1回の接種で、1シーズンのインフルエンザに対する免疫を得ることができます。
  • 予防効果:接種しても10%ぐらいの方は感染しますが、ほとんど軽症です。
  • 副反応:フルミストの副反応として、軽い鼻水やくしゃみ、喉の痛みなどが報告されています。

フルミストはインフルエンザに効果がありますか?

  • 効果の持続期間:1回の接種で、1シーズンのインフルエンザに対する免疫を得ることができます。
  • 予防効果:接種しても10%ぐらいの方は感染しますが、ほとんど軽症です。
  • 副反応:フルミストの副反応として、軽い鼻水やくしゃみ、喉の痛みなどが報告されています。

フルミストのデメリットは?

30〜40%の人で接種後3日〜7日までに鼻汁・鼻閉・咽頭痛・咳などの感冒症状が、数%の人で発熱が出ることがあります。

まれではありますが発疹、じんましんの他にアナフィラキシーショックやギランバレー症候群のような重い副反応を起こす可能性は、他のワクチン同様否定できません。

フルミストは、すでに世 界中で広く使用されている、鼻に接種(点鼻)するタイプのインフルエンザワクチンです。点鼻ですので、針は使用しませんから痛くありません。

普通のインフルエンザワクチン(不活化インフルエンザワクチン)と違い

発病を抑えることができる

インフルエンザウイルスは、気道の粘膜に感染を起こして増殖し、全身に広がります。

注射型のインフルエンザワクチンは、血液中のインフルエンザウイルスに対するIgG抗体(免疫物質)が作られることで、インフルエンザウイルスが全身に広がるのを抑えます。

このIgG抗体は気道粘膜には存在しませんので、気道への感染そのものを抑えることはできません。

つまり、感染そのものを防ぐというよりも、「重症化を防ぐ」作用が主になります。

それに対し、経鼻インフルエンザ生ワクチンは、実際に気道(鼻)の粘膜で弱毒化されたウイルスが繁殖するため、気道粘膜でインフルエンザウイルスに対するIgA抗体が作られます。

このIgA抗体は、インフルエンザウイルスが気道粘膜に感染を起こし増殖しようとすることを抑えますので、感染を阻止する(発病を抑える)ことができます。

特に2〜7歳での効果が高く、不活化インフルエンザワクチンの発病予防効果が20〜30%程度なのに対し、80%以上の効果があるとされています。

インフルエンザウイルスの微妙な型の違いに対応できる

インフルエンザウイルスは小さな型の変異を繰り返しており、その変異したもののどの型が流行するのかを予測してワクチンがつくられています。

対して、経鼻インフルエンザ生ワクチンは、ウイルスが気道粘膜で増殖することによって、IgA抗体が産生されるだけではなく、抗体とは異なる免疫システムである細胞性免疫も刺激されます。

この細胞性免疫の働きのおかげで、型が異なっても効果が期待できます。

効果の持続期間が長い

不活化インフルエンザワクチンの効果は4〜6か月程度なのに対し、約1年間効果が持続します。

痛くない

鼻にスプレーするだけですので全く痛くありません。

ただし、大泣きしているお子さんは、ワクチンが鼻から流れ出てしまうため、接種できないこともあります。

フルミストの副反応

フルミストには、弱毒化(attenuated)された、25℃の低温で増殖する(cold adapted)インフルエンザウイルスが使用されています。

弱毒化され病気を起こす力(病原性)はほとんどなく、さらには比較的高温の下気道(気管支・肺)では増殖できないため、重篤な副作用はまずありません。

鼻粘膜に軽く感染させるため、約半数の方に鼻炎、鼻詰まりなどの軽い鼻炎症状がみられます。

小児では発熱がみられることもあります。

もちろん、普通のワクチン同様、極まれにショックやギランバレー症候群などの重篤な副作用が起きる可能性もありますので、その点はご理解いただければと存じます。

ワクチン接種ができない人

  • 当日に、急性疾患にかかっている人や発熱している人は接種できません。
  • 卵などに重いアレルギー反応を起こしたことがある人も接種できません。(ワクチンの成分も含みます)
  • 4週間以内に「生ワクチン」を接種している人も不適当です。

フルミスト接種ができない人

  • 妊娠中あるいは妊娠の可能性がある女性。
  • 治療のためにアスピリンを服用している人。
  • 5歳未満で喘息の治療を行っている人、または、1年以内に喘息の発作があった人。
  • 心疾患、肺疾患、肝疾患、糖尿病などの代謝性疾患、血液疾患、神経系疾患、免疫機能低下などの慢性疾患を持っている人。
  • 医療従事者で、重症者治療ユニットや悪性腫瘍治療ユニットで働いている人。
  • 免疫機能が低下した人と日常的に接する、介護者や家族など。
  • インフルエンザワクチン接種後にギランバレー症候群を発症した経験がある人。

インフルエンザのフルミストの副作用は?

副作用 まれに発熱や鼻水などの軽い症状が出る場合があります。

経鼻生ワクチンのため、接種から2週間程度は、インフルエンザ抗原迅速検査で、『陽性』となる可能性があります。

副作用、接種可否に関して、詳しくは当院医師にご相談ください。

フルミストの副反応

フルミスト接種後の主な副反応は、鼻炎症状(鼻水、鼻づまり)や発熱などです。

インフルエンザ様症状が強い時は、タミフル、ゾフルーザ等の抗インフルエンザ薬にて対応します。

料金、予約

接種料金は1回9000円(税込)です。

予約は電話または受付でお願いします。

入荷するフルミストは本数が限られており、在庫が無くなり次第予約の受付を終了致します。

注)喘息の診断を受けている方は、普段から喘息の管理をしているかかりつけ医にフルミスト接種の可否を確認してください。

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