20代〜30代の女性に急増する子宮頸がんの主な危険因子は、ヒロパピローマウィルス(HPV)感染によるものだと言われています。
ヒトパピローマウィルスには100種類以上の型(タイプ)が発見されておりますが、子宮頸がんの約65%はHPV16型または18型が原因だと言うことが分かっており、また、尖圭コンジローマの90%以上は、HPV6型または11型が原因だと分かっております。
サーバリックスとガーダシルは公費負担の対象なので患者さんは対象年齢だと無料で受けられます。小6から高1まで。
シルガード9は9価のワクチンで予防できるHPVの型が多いのですが、公費負担の対象になってないので全額自己負担になります。
サーバリックスは2価、ガーダシルは4価です。
ただ、ガーダシル対象のうちの2つの型は子宮頸癌ではなくてせんけいコンジローマの原因なので子宮頸癌に対しては同じ2価。
ガーダシルは抗体価が長くもたないのでサーバリックスの方がいいとは言われていました。
ただ、お金に問題なければシルガードがいいのかなと個人的には思います。
日本人は50番代の型にかかる人が多いそうで、それをカバーしているそうです。
シルガードは子宮頸癌に関わるHPVの88%をカバーしていて、サーバリックスとガーダシルは65%とか。
子宮頸がん予防ワクチンを接種した際の、強い痛みによりショックから気を失ったり、倒れたりするケースが多発しているとして、厚生労働省は2012年6月27日、医療機関に対し注意喚起を行いました。
子宮頸がん予防ワクチンは、他のワクチンとは異なり、肩近くの筋肉に注射するという行為そのものの痛みや恐怖、興奮などから失神したり、倒れたりする副作用が起きる事があるといわれております。
また、接種後30分から1時間で症状が現れることもあり、接種後30分程度はいすなどに腰かけ、安静にしていただくようお願いします。
2014年1月20日に開催された第7回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において、子宮頸がん予防ワクチンの副反応等の検討がなされました。
子宮頸がん予防ワクチン接種後に副反応として報告された症例、おもに広範な疼痛又は運動障害を来した症例について、論点整理を行い、以下のような合意が得られました。
報告書案をとりまとめ、次回以降(次回は2014年2月を予定)、積極的な接種勧奨の再開の是非について改めて審議される予定です。
HPVワクチンについては、接種後に出現する広範な疼痛、運動障害について現在専門家の間で検討中であり、積極的な勧奨(個別に接種を勧める内容の文書をお送りすること)を一時的に控えています。
しかしながら、HPVワクチンが定期接種として接種できることに変わりはなく、接種を希望される方に対しては、接種を行っていただいています。
HPVワクチンに関する知識がない方、接種すべきか判断できずに困っている方、接種に不安を抱いている方等が多くおられます。そのような方々に、適切な情報提供をお願いしたいと考えています。
子宮頸がんについては、HPVが持続的に感染することで、異形成を生じた後、浸潤がんに至ることが明らかになっています。
HPVに感染した個人に着目した場合、多くの感染者で数年以内にウイルスが消失しますが、そのうち数%は持続感染ー前がん病変(高度異形成、上皮内がん)のプロセスに移行し、さらにその一部は浸潤がんに至ります。
性交経験のある人の多くはHPVに一生に1度は感染するといわれています。
我が国においては、ほぼ100%の子宮頸がんで高リスク型HPVが検出され、その中でもHPV16/18型が50〜70%を占めます。
わが国では年間約1.1万人の子宮頸がん罹患者とそれによる約2,800人の死亡者を来す等、重大な疾患となっています。
子宮頸がん年齢階級別罹患率は20代から増加し、40代でピークを迎えます。
子宮頸がん自体は、早期に発見されれば予後の悪いがんではありませんが、妊孕性を失う手術や放射線治療を要する20代・30代の方が、年間約1,200人います。
前がん病変に対して行われた円錐切除術の件数は年間1.1万件を超えています。円錐切除術後は、流早産のリスクが高まるといわれています。
2価HPVワクチン(サーバリックスR)はHPV16/18型の感染を、4価HPVワクチン(ガーダシルR)はHPV6/11/16/18型の感染を予防します。
2種類のHPVワクチンには、HPV16/18型の感染とそれによる子宮頸部異形成を予防する効果が示されており、4価HPVワクチンはHPV6/11型の感染とそれによる尖圭コンジローマも予防します。
また、ワクチン(サーバリックスR)接種により自然感染で獲得する数倍量の抗体を、少なくとも9.4年維持することが海外の臨床試験により明らかになっています。
HPVワクチンは2006年に欧米で生まれ、使われ始めた比較的新しいワクチンであり、がんそのものを予防する効果を示す報告はまだ少ないため、現段階では証明されたとは言えませんが、子宮頸がんのほとんどは異形成を経由して発生することを踏まえると、最終的に子宮頸がんを予防できることが期待されます。
HPVワクチン接種で予防されない型のHPVによる子宮頸がんも一部存在します。HPVワクチンの接種歴に関わらず、子宮頸がん検診を定期的に受けるようにしましょう。
海外からは、HPVワクチン導入により、ワクチン型HPV感染が77.79%減少し、また、子宮頸部異形成が51%減少した等の報告がなされています。
生涯累積リスクによる推計からは、HPVワクチン接種により、10万人あたり859〜595人が子宮頸がんになることを回避でき、また、10万人あたり209〜144人が子宮頸がんによる死亡を回避できる、と期待されます。
当院で採用しているガーダシルRについてご説明します。
発生頻度 | ガーダシルR |
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50%以上 | 疼痛(82.7%) |
10%〜50%未満 | 腫脹(28.3%)、紅斑(32.0%) |
1〜10%未満 | 掻痒・出血・不快感、頭痛、発熱 |
1%未満 | 硬結、四肢痛、筋骨格硬直、腹痛・下痢 |
頻度不明 | 疲労・倦怠感、失神、筋痛・関節痛、嘔吐等 |
アナフィラキシー(奪麻疹、呼吸器症状等を呈する重いアレルギー)、ギラン・バレー症候群(脱力等を呈する末梢神経の病気)、 急性散在性脳脊髄炎(頭痛、嘔吐、意識障害等を呈する中枢神経の病気)等
ワクチンを接種した後に、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動等を中心とする多様な症状が起きたことが副反応疑い報告により報告されています。
この症状のメカニズムとして、@神経学的疾患、A中毒、B免疫反応、C機能性身体症状が考えられました が、@ABでは説明できず、C機能性身体症状であると考えられています。
「HPVワクチン接種後の局所の疼痛や不安等が機能性身体症状を惹起したきっかけになったことは否定できないが、接種後1ヶ月以上経過してから発症している症例は、接種との因果関係を疑う根拠に乏しい」と評価され ています。
HPVワクチン接種歴のない方においても、 HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の「多様な症状」を有する方が一定数存在したこと、が明らかとなっています。
このような「多様な症状」の報告を受け、 様々な調査研究が行われていますが、「ワクチン接種との因果関係がある」という証明はされていません。
ワクチンを接種した後や、けがの後等に原因不明の痛みが続いたことがある方は「機能性身体症状」が出現する可能性が高いと考えられているため、被接種者と保護者に十分確認してください。
接種後に現れた症状により、以降の接種を中止、延期することが可能です。2回目以降の接種時には、前回接種後の症状の有無を被接種者と保護者に確認してください。
機能性身体症状とは
何らかの身体症状はあるものの、画像検査や血液検査を受けた結果、その症状に合致する異常所見が見つからないことがあります。こういう状態を機能性身体症状と呼んでいます。
症状としては、@知覚に関する症状(頭や腰、関節等の痛み、感覚が鈍い、しびれる、光に対する過敏等)、A運動に関する症状(脱力、歩行困難、不随意運動等)、B自律神経等に関する症状(倦怠感、`めまい、嘔気、睡眠障害、月経異常等)、C認知機能に 関する症状(記憶障害、学習意欲の低下、計算障害、集中力の低下等)等多岐にわたります。
痛みについては、特定の部位からそれ以外に広がることもあります。運動障害等についても診察所見と実際の運動との乖離、症状の変動性、注意がそれた場合の所見の変化等、機能性に特有の所見が見られる場合があります。
臨床現場では、専門分野の違い、病態のとらえ方の違いあるいは主たる症状の違い等により、様々な傷病名で診療が行われています。また一般的に認められたものではありませんが、病因に関する仮説に基づいた新しい傷病名がつけられている場合もあります。
例:身体症状症、変換症/転換性障害(機能性神経症状症)、線維筋痛症、慢性疲労症候群、起立性調節障害、複合性局所疼痛症候群(complexregional pain syndrome: CRPS)
令和元 (2019) 年 8 月末までにHPVワクチン接種との因果関係が否定できないとして救済制度の対象となった方※は、予防接種法に基づく救済の対象者が、審査した計 54 人中、28 人、PMDA 法に基づく救済の対象者が、審査した計507人中、314人となっています。合計すると561人中、342人です。
我が国の従来からの救済制度の基本的な考え方「厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も救済の対象とする」にそって、救済の審査を実施しています。
※ ワクチン接種に伴って一般的に起こりうる過敏症等機能性身体症状以外の認定者も含んだ人数
今後のHPVワクチンの取り扱いについては、現在、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会等で検討を進めております。
議論の詳細については、下記の厚生労働省ホームページで公開していますので、ご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=284075
性感染症に分類される。接触感染する。尖圭コンジローマでは、性交後3週〜8か月(平均3か月)に、痒みを伴う先端が尖った疣贅が出現する。
治療は、発症部位によって異なり、外陰部・会陰部発症であれば、イミキモド5% クリーム塗布が第一選択であり、効果がなければ切除、冷凍焼灼、電メス焼灼、レーザー蒸散を行う。
ただし、腟内と子宮腟部へのイミキモドクリーム塗布は禁忌。
HPV6型、11型が原因ウイルスのタイプとして知られている。
HPV16型、18型は子宮頸癌のハイリスク型として有名。
ローリスク型HPVの6型、11型が尖圭コンジローマの原因であり、子宮頸癌の原因のハイリスク型HPV とは異なる。
HPV4価ワクチンガーダシル接種による感染予防効果が確認されている。
尖圭コンジローマは視診での診断が基本であるが、非典型的な場合は生検を行い、コイロサイトーシス(核周明庭)や角化を病理組織診で確認する。
治療法の選択は、腟内や子宮腟部の疣贅の存在の有無で異なる。なお、肉眼的に治癒しても、3か月以内の再発が約25%ある。
性感染症の鑑別点は下表参照。
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