子宮頸がんについて

20代〜30代の女性に急増する子宮頸がんの主な危険因子は、ヒロパピローマウィルス(HPV)感染によるものだと言われています。

ヒトパピローマウィルスには100種類以上の型(タイプ)が発見されておりますが、子宮頸がんの約65%はHPV16型または18型が原因だと言うことが分かっており、また、尖圭コンジローマの90%以上は、HPV6型または11型が原因だと分かっております。

子宮頸がん予防ワクチンについて

子宮頸がん予防ワクチンはこれまで任意接種でしたが、2013年4月1日から定期の予防接種に変わりました。接種費用は無料です。

これから初回接種を行われる方は、「サーバリックス」か「ガーダシル」のどちらかで接種を行ってください。なお、子宮頸がんに対する効果は、いずれのワクチンを接種しても同じであると言われています。

効果について直接比較したデータはありません。海外では2種類のワクチンの抗体価を調べたデータもあるようですが、WHOガイドラインや米国疾患管理予防センター(CDC)予防接種諮問委員会(ACIP)の勧告によりますと、長期予防効果に対する相関性は明確になっていないという見解です。

子宮頸がん予防ワクチンについての当クリニックの考え方

2つのワクチンの違い

  サーバリックス ガーダシル
予防できるHPVの型 HPV16、18 HPV6、11、16、18
予防できる病気 子宮頸がん 子宮頸がん、尖圭コンジローマ

接種スケジュール

サーバリックス

ガーダシル

両方のワクチンを接種することはできません。必ず1回目に打ったワクチンと同じものを続けて接種してください。

2012年6月27日 厚生労働省による注意喚起の報道について

子宮頸がん予防ワクチンを接種した際の、強い痛みによりショックから気を失ったり、倒れたりするケースが多発しているとして、厚生労働省は2012年6月27日、医療機関に対し注意喚起を行いました。

子宮頸がん予防ワクチンは、他のワクチンとは異なり、肩近くの筋肉に注射するという行為そのものの痛みや恐怖、興奮などから失神したり、倒れたりする副作用が起きる事があるといわれております。

また、接種後30分から1時間で症状が現れることもあり、接種後30分程度はいすなどに腰かけ、安静にしていただくようお願いします。

2014年1月20日開催 第7回副反応検討部会における審議結果(概要)

2014年1月20日に開催された第7回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において、子宮頸がん予防ワクチンの副反応等の検討がなされました。

子宮頸がん予防ワクチン接種後に副反応として報告された症例、おもに広範な疼痛又は運動障害を来した症例について、論点整理を行い、以下のような合意が得られました。

  1. 海外においても同様の症例の報告はあるものの、発症時期・症状・経過等に統一性がなく、単一の疾患が起きているものとはできないとして、ワクチンの安全性への懸念とは捉えられていない。
  2. サーバリックスとガーダシルの比較では、局所の疼痛の報告頻度は、サーバリックスの方が有意に高く見られるものの、広範な疼痛又は運動障害には、有意な差はない。
  3. 広範な疼痛又は運動障害を来した症例のうち、関節リウマチやSLE等の既知の自己免疫疾患等と診断されている症例については、ワクチンとの因果関係を示すエビデンスは得られていない。
  4. 今回の症状のメカニズムとして、(1)神経学的疾患、(2)中毒、(3)免疫反応、(4)心身の反応が考えられるが、(1)から(3)では説明できず、(4)心身の反応によるものと考えられる。
  5. 子宮頸がん予防ワクチンは局所の疼痛が起きやすいワクチンであり、接種後の局所の疼痛や不安等が心身の反応を惹起したきっかけとなったことは否定できないが、接種後1か月以上経過してから発症している症例は、接種との因果関係を疑う根拠に乏しい。
  6. 心身の反応が慢性に経過する場合は、接種以外の要因が関与している。
  7. リハビリなど身体的アプローチと心理的アプローチ双方を用いて、集学的な治療により重症化・長期化を防ぎ、軽快させていくことが重要である。

報告書案をとりまとめ、次回以降(次回は2014年2月を予定)、積極的な接種勧奨の再開の是非について改めて審議される予定です。

HPVワクチンの接種に当たって

HPVワクチンについては、接種後に出現する広範な疼痛、運動障害について現在専門家の間で検討中であり、積極的な勧奨(個別に接種を勧める内容の文書をお送りすること)を一時的に控えています。

しかしながら、HPVワクチンが定期接種として接種できることに変わりはなく、接種を希望される方に対しては、接種を行っていただいています。

HPVワクチンに関する知識がない方、接種すべきか判断できずに困っている方、接種に不安を抱いている方等が多くおられます。そのような方々に、適切な情報提供をお願いしたいと考えています。

ワクチンの有効性について

ヒトパピローマウイルス(HPV)と子宮頸がんについて

子宮頸がんについては、HPVが持続的に感染することで、異形成を生じた後、浸潤がんに至ることが明らかになっています。

HPVに感染した個人に着目した場合、多くの感染者で数年以内にウイルスが消失しますが、そのうち数%は持続感染ー前がん病変(高度異形成、上皮内がん)のプロセスに移行し、さらにその一部は浸潤がんに至ります。

性交経験のある人の多くはHPVに一生に1度は感染するといわれています。

我が国においては、ほぼ100%の子宮頸がんで高リスク型HPVが検出され、その中でもHPV16/18型が50〜70%を占めます。

わが国では年間約1.1万人の子宮頸がん罹患者とそれによる約2,800人の死亡者を来す等、重大な疾患となっています。

子宮頸がん年齢階級別罹患率は20代から増加し、40代でピークを迎えます。

子宮頸がん自体は、早期に発見されれば予後の悪いがんではありませんが、妊孕性を失う手術や放射線治療を要する20代・30代の方が、年間約1,200人います。

前がん病変に対して行われた円錐切除術の件数は年間1.1万件を超えています。円錐切除術後は、流早産のリスクが高まるといわれています。

HPVワクチンの効果について

2価HPVワクチン(サーバリックスR)はHPV16/18型の感染を、4価HPVワクチン(ガーダシルR)はHPV6/11/16/18型の感染を予防します。

2種類のHPVワクチンには、HPV16/18型の感染とそれによる子宮頸部異形成を予防する効果が示されており、4価HPVワクチンはHPV6/11型の感染とそれによる尖圭コンジローマも予防します。

また、ワクチン(サーバリックスR)接種により自然感染で獲得する数倍量の抗体を、少なくとも9.4年維持することが海外の臨床試験により明らかになっています。

HPVワクチンは2006年に欧米で生まれ、使われ始めた比較的新しいワクチンであり、がんそのものを予防する効果を示す報告はまだ少ないため、現段階では証明されたとは言えませんが、子宮頸がんのほとんどは異形成を経由して発生することを踏まえると、最終的に子宮頸がんを予防できることが期待されます。

HPVワクチン接種で予防されない型のHPVによる子宮頸がんも一部存在します。HPVワクチンの接種歴に関わらず、子宮頸がん検診を定期的に受けるようにしましょう。

HPVワクチン導入のインパクト

海外からは、HPVワクチン導入により、ワクチン型HPV感染が77.79%減少し、また、子宮頸部異形成が51%減少した等の報告がなされています。

我が国における、HPVワクチンの効果推計

生涯累積リスクによる推計からは、HPVワクチン接種により、10万人あたり859〜595人が子宮頸がんになることを回避でき、また、10万人あたり209〜144人が子宮頸がんによる死亡を回避できる、と期待されます。

ワクチンのリスクについて

当院で採用しているガーダシルRについてご説明します。

発生頻度 ガーダシルR
50%以上 疼痛(82.7%)
10%〜50%未満 腫脹(28.3%)、紅斑(32.0%)
1〜10%未満 掻痒・出血・不快感、頭痛、発熱
1%未満 硬結、四肢痛、筋骨格硬直、腹痛・下痢
頻度不明 疲労・倦怠感、失神、筋痛・関節痛、嘔吐等

頻度は低いですが、重篤な副反応も報告されています。

アナフィラキシー(奪麻疹、呼吸器症状等を呈する重いアレルギー)、ギラン・バレー症候群(脱力等を呈する末梢神経の病気)、 急性散在性脳脊髄炎(頭痛、嘔吐、意識障害等を呈する中枢神経の病気)等

接種にあたっての注意@
  • 痛み等の頻度が高いワクチンです。
  • 接種の癌みや緊張のために、血管迷走神経反射が出現し、失神することがあリます。接種後は少なくとも30分間は背もたれのある椅子に座っていただき、座位で様子を見てください。前に倒れる場合がありますので、注意 してください。

喀痛褻たは運動障害等の報告について

ワクチンを接種した後に、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動等を中心とする多様な症状が起きたことが副反応疑い報告により報告されています。

この症状のメカニズムとして、@神経学的疾患、A中毒、B免疫反応、C機能性身体症状が考えられました が、@ABでは説明できず、C機能性身体症状であると考えられています。

「HPVワクチン接種後の局所の疼痛や不安等が機能性身体症状を惹起したきっかけになったことは否定できないが、接種後1ヶ月以上経過してから発症している症例は、接種との因果関係を疑う根拠に乏しい」と評価され ています。

HPVワクチン接種歴のない方においても、 HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の「多様な症状」を有する方が一定数存在したこと、が明らかとなっています。

このような「多様な症状」の報告を受け、 様々な調査研究が行われていますが、「ワクチン接種との因果関係がある」という証明はされていません。

接種にあたっての注意A

ワクチンを接種した後や、けがの後等に原因不明の痛みが続いたことがある方は「機能性身体症状」が出現する可能性が高いと考えられているため、被接種者と保護者に十分確認してください。

接種後に現れた症状により、以降の接種を中止、延期することが可能です。2回目以降の接種時には、前回接種後の症状の有無を被接種者と保護者に確認してください。

機能性身体症状とは

何らかの身体症状はあるものの、画像検査や血液検査を受けた結果、その症状に合致する異常所見が見つからないことがあります。こういう状態を機能性身体症状と呼んでいます。

症状としては、@知覚に関する症状(頭や腰、関節等の痛み、感覚が鈍い、しびれる、光に対する過敏等)、A運動に関する症状(脱力、歩行困難、不随意運動等)、B自律神経等に関する症状(倦怠感、`めまい、嘔気、睡眠障害、月経異常等)、C認知機能に 関する症状(記憶障害、学習意欲の低下、計算障害、集中力の低下等)等多岐にわたります。

痛みについては、特定の部位からそれ以外に広がることもあります。運動障害等についても診察所見と実際の運動との乖離、症状の変動性、注意がそれた場合の所見の変化等、機能性に特有の所見が見られる場合があります。

臨床現場では、専門分野の違い、病態のとらえ方の違いあるいは主たる症状の違い等により、様々な傷病名で診療が行われています。また一般的に認められたものではありませんが、病因に関する仮説に基づいた新しい傷病名がつけられている場合もあります。

例:身体症状症、変換症/転換性障害(機能性神経症状症)、線維筋痛症、慢性疲労症候群、起立性調節障害、複合性局所疼痛症候群(complexregional pain syndrome: CRPS)

救済制度

令和元 (2019) 年 8 月末までにHPVワクチン接種との因果関係が否定できないとして救済制度の対象となった方※は、予防接種法に基づく救済の対象者が、審査した計 54 人中、28 人、PMDA 法に基づく救済の対象者が、審査した計507人中、314人となっています。合計すると561人中、342人です。

我が国の従来からの救済制度の基本的な考え方「厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も救済の対象とする」にそって、救済の審査を実施しています。

※ ワクチン接種に伴って一般的に起こりうる過敏症等機能性身体症状以外の認定者も含んだ人数

今後の検討について

今後のHPVワクチンの取り扱いについては、現在、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会等で検討を進めております。

議論の詳細については、下記の厚生労働省ホームページで公開していますので、ご参照ください。

<予防接種情報ホームページ>

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/index.html

<副反応検討部会ホームページ>

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=284075

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